#73 「不幸」って意外と単純? アラン『幸福論』心と体は繋がっている
今回は、世界三大幸福論の一つである、アランの『幸福論』から「不幸」について考えてみたいと思います。
アランって誰?と思った方も多いと思いますが、1868年~1951年、フランスで活躍した哲学者です。
アラン曰く「不幸」の原因は「情念」です。
聞き慣れない言葉ですが、怒り・不安・不満といったネガティブな感情のことだと思って差し支えないと思います。
人間は、太古の昔から不安や恐怖を敏感に感じるようにできています。
草むらから聞こえてくるちょっとした物音にも恐怖を感じられるから、野生動物に襲われるのを防ぐことができました。そうしたリスクが無いに等しい現代でも、その基本構造は変わりません。
つまり、人間のデフォルトは「情念( =ネガティブな感情)に支配されやすい」「不幸になりやすい」状態です。
「不幸」な状態に陥らないためには、いかにしてこの「情念」に囚われないようにするかがポイントになります。
「不幸」の原因の多くは「身体的」なもの
アランは、情念をコントロールする際に、その「原因」を見極めなさいと言います。原因が分かってしまえば、何らかの対処法はあるからです。
また、実践的に情念をどう制御するかについては「身体性」に着目しました。
普段はあまり意識しませんが、私たちの「心」と「身体」は繋がっています。
不機嫌の理由は単純で、「長時間立たされていた」からであり、それをなおすための方法も「椅子に座って休憩する」と、極めてシンプルです。
なんとなくイライラする、モヤモヤする…その原因は、
寝不足だから
昨日お酒を飲み過ぎたから
お腹が空いているから
など、身体的なものかもしれません。
また、私たちの「心」の状態は、姿勢や態度として「身体」に現れると言います。退屈している人は、退屈そうな姿勢で退屈そうに話すし、元気がない人は、だらりと項垂うなだれているものです。
アランは、「心」と「身体」がリンクしているからこそ、「行動 (身体活動)」が「情念」を振り払うための、有効な対処法になると考えました。
行動によって「情念」を振り払う
身体活動が先にあって、それに合うような感情を後付的に作り出しているということは、近年脳科学的にも証明されつつあります。
そのため、機嫌よく過ごすためには、機嫌よいふりをすればいい。
つまりは、にっこりとほほ笑み、姿勢を正し、ゆったりと呼吸し、礼儀正しい所作と言葉遣いをすればいいと言います。
本当か?と思う方もいるかもしれませんが、イライラしている時や緊張している時に深呼吸をしてみると、少し落ち着いたという経験はないでしょうか?
「礼節=礼儀正しく振舞うこと」は、マナーという次元を超えて、自分自身の情念をコントロールする手段になります。
さらに詳しい解説は下の記事で書いているので、興味を持っていただけた方はこちらも読んでみてください。↓↓
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。