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「フェードル」@兵庫県立芸術文化センター 2021.2.11&13

林遣都さんが好き。

好きの力って本当に偉大なもので、
テレビや映画、作品集などのエンタメを堪能するだけに留まらず。
ついに、演劇の世界にも飛び込びこんでしまった。

古典演劇に触れたことがなかったし、
カタカナは少し苦手だし、
うーーーん…と悩んだ結果、
今回はしっかり予習した。
もっともっと教養が備わっていれば「事前情報なしの初見の楽しさ」を楽しめるんだろうけど、原作?戯曲?を読むことにした。

話の筋はバッチリ。
登場人物の名前、関係性もバッチリ。
ギリシャ神話に出てくる怪物の知識、ある程度把握。の状態で挑んだ。

いや〜〜
本当に本当に素晴らしい時間だったなあ。
今までなんでもっと演劇に興味を持たなかったんだろう…と後悔してしまうくらい。

主演の大竹しのぶさん演じるフェードル。
圧倒的な存在感主人公感悲劇のヒロイン感。
真剣に思い悩む様は共感したり、はたまた滑稽で笑っちゃったり、最高だった。

劇場まで連れてってくれたと言っても過言ではない(?きっかけをくれた)林遣都さん演じるイッポリット。
高貴で、まさに王子そのもので…。
悲劇的な運命はやりきれない。だけど全てが美しかった。

キムラ緑子さんや酒向さんは、とても気になっていた俳優さんだし、初めて知る方もとても魅力的で、生でお芝居を堪能できて本当によかった。

そして最後のカーテンコール。
ぐっっっときてしまった…

文字に起こしてもその時の感情は全く表現できないくらい、他の何にも変えがたい瞬間だったなあ。
昨今、残念なことにエンターテイメントは不要不急だと判断され、提供する側も、それを享受する側も、たくさん我慢しなければならなくなっていたから。
今まで当たり前のように感じていた拍手は、「素敵なものを魅せてくれてありがとう」と直接伝えられるものなんだと改めて強く感じた。キャストの皆さんが清々しいような、感激しているような表情をされているのもまた、とても幸せなことで。

「演劇が続きますように」

大竹さんのこの言葉。どれほど純粋で、熱くて、あったかくて、チャーミングで、力強い祈りであったか…
声のトーンまで、忘れたくない。
いつかは忘れるかも知れないけど、きっと心が感覚を覚えてくれてると思う。

私の観劇経験は回数で言えば3回くらいだし、そのうち思い入れがあるのは2回。
だけど、そこで感じたものは本物だったから、嘘じゃないから、まだまだこれからも、それを感じたい。

これからもいつ何があるかわからないけど、
続いていくだろうなあ、世の中に人の心があるうちは。

今度は、安部公房の『友達』。
観に行けるといいな。絶対行きたい!

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