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雛杜雪乃(ひなもりゆきの)
2020年11月17日 11:38
薄ぼんやりとした意識の中、少しの酔いと今まで感じたことが無いような不快感と頭痛が、頭と胸元でぐるぐると渦を巻く。 昨晩は深酒をしてしまったのかと記憶を辿りながらも、まずは意識をはっきりさせようと腰をあげる。 ━━そう行動しようとしたところで、手首と足首から金属音が発せられ、俺の行動は制限される。「手錠……?!」 音の発生源を見れば、自分の手首と足首には赤い革製の拘束具が取り付けられ
2020年11月5日 14:52
これほどの目の持ち主にであったのは十何年ぶりだっただろうか。 目の前の、美しい瞳の少女はじっとこちらを見つめ、この場に似つかわしくない包装された手提げ袋と、片目を隠すほどのヴェールを身にまとい、私の前に立っていた。 普段は使われることの無いドアノッカーがやってきた自分の職務に満足し、暇を取ろうとするのを横目に少女を見やる。「君、一体何の用事があって私を訪ねたんだい? どんな身の上かは分か