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西尾維新「かれんオウガ」『業物語』その3 ステルスリアクション・エクストラ095

(ステルスリアクションとは、見えないリアクションである。表向き別の事を表現しているように見せながら、同時に、特定の何かに対するリアクションとしても意図された、そのような表現方法なのだ)

(ご注意・本稿では西尾維新「かれんオウガ」『業物語』のネタバレを含みます。閲覧の際にはあらかじめご了承ください。表紙画像と本文は一切関係ありません。また、登場人物や組織の実名は伏せられている場合があります。そして、明かしづらい内容は不明瞭な表現となっている場合があります)

前回はこちら(関連リンクは末尾を参照)。

また本稿においては「西尾・忍殺」を重要な関連資料として参考して頂きたい。


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・わかったような気になっても、それはきっと気のせい

その事を(その場限りとはいえ)目上に伝えるのがどれ程困難な事か、というか日本における慣習上原理的に不可能なのでは……。

という事で、すれ違いを下から是正する事が出来ない以上、すれ違い続けるしかないのです。残念な事に。


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・鬼は心に生まれ影に住む

歴史寓話。日本の四島が「心」。「日」、漢字における円形の代用「口」、「日」の類型としての「小」などを含む「影」。「鬼」は攻撃性や残酷性、戦時の大日本帝国的な特徴を象徴的に示す。

歴史寓話におけるキャラクター上での「鬼」的要素の前景・後景化は、日本におけるそれの出現と消滅、あるいはフィクションの上での重合化を示し、あるいはまた同時に歴史寓話とステルスリアクションの重層化・切り替えをも暗に言及しているのかもしれない。


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・お前は何人で来ているのか
・よもや一人で来ておるつもりではあるまいな?

僕が1人のつもりじゃなかったとしてもベータロンは「こいつ1人この場で手懐ければどうにでもなる」って思ってたんじゃないかなー。

それじゃあ実質的に1人と変わらんですよ、具体化するパワー量としてはね(僕は自分ではそれほど恩知らずではないつもりでいますけど、だからって役に立たなかった部分に関してまで恩着せがましくされるのはちょっと違うんじゃないかなー、くらいは判断するので)。


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・人間の侵入を拒んでいるかのような愛想のなさ(三つの山が三回の会見?)

次、誰かの人物やら能力を判断するにあたっては、1回目のジャッジを信じることにしてます。それで7割方合ってるだろうし、間違ってたらその間違いが何らかの形で僕にされるだろうし、その時になって修正する方が毎度毎度9割以上の精度で判断するために確証が得られるまでコストかけてられないので。

コストかけた結果より長く深刻に嫌な思いをさせられるだけ、って馬鹿馬鹿しいもんね。


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・むしろ出来事は静かにそろそろとあたしに迫ってきて、気がついたらすっかり取り囲まれていた

これが殲滅戦だったら暗殺レベルで僕はやられてたと思います。ま、僕相手にそこまでする動機のある人を集めてもこうはならないし、そもそもそこまで恨まれるような事はしているつもりはなかったですけど。

……でもその辺の事情ももう変わってきたかなぁ(いやそこまで強力な相手を敵に回している様子はないんだけど……)。

とまれ、力をつけるのが先決というか、全てに有効な対策かなぁ。頑張ります。


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・何をどうしたって自分の命がからんだハイリスクな賭け

これは僕以上にベータロンがそうだったんじゃないかな、本人が気付いていたかにかかわらず……(自分の都合だけでやりたいんなら他人を巻き込んじゃダメだ、というのは僕が身をもって示してるところでもあるんだけれど)。


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・身体がバラバラに(爆発四散?)

『ニンジャスレイヤー』の定番、というか主設定の1つ。殺されたニンジャは「サヨナラ!」と叫んで爆発四散する(まれに例外あり)。非常にインパクトが強く、パワーがある。




(続く)

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関連リンク

西尾維新を読むことのホラーとサスペンス、ニンジャスレイヤー、そして批評家の立場と姿勢の話

西尾維新篇

第1話「ゼロ年代の終わりに」(約1,600文字)

第2話「西尾維新からの応答」(約3,200文字)

ニンジャスレイヤー篇

第5話「『ニンジャスレイヤー』をオマージュする西尾維新」(約2,600文字)

策謀篇

第6話「過渡期の人」(約1,900文字)

第7話「茶番の始まり」(約1,800文字)

第8話「違和感の塊のような」(約2,100文字)

第9話「地雷と第二次性徴」(約2,200文字)

第10話「アメリカンなジェスチャー」(約3,500文字)

第11話「俺に合わせろ」(約2,900文字)

第12話「物語の終わり」(約1,800文字)

第13話「閉じろ、その地獄の釜の蓋を」(約3,200文字)

昇華篇

第14話「『天狗の国へ連れてゆく』」(約1,700文字)

批評篇

第15話「『どうだ ピンク色の光が見えてきたか?』」(約2,300文字)

第16話「『やめろ!俺の頭から出て行きやがれ!狂気め!』」(約2,800文字)

第17話「『消えろ』‘彼を呼ぶのだ!’『消えてくれ』」(約2,400文字)

第19話「『俺は向こう側に、天狗の国に行かなきゃならねえ』」(約3,400文字)

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#批評 #コラム #ステルスリアクション #小説 #西尾維新

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