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クリエイターの為の批評コラム

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2016年4月の記事一覧

面白さの正体 中級者向け 物語構造を元にしたシーンメイキング「反作用」「処罰」「結婚もしくは即位」クリエイターの為の批評コラム

前回はこちら。

前回同様物語構造とシーンメイキングの話を。前半は個別の物語構造ユニットの取り扱い、後半はこれまで何度も登場した「虚偽の認識」→「真相の解明」による完結性について細かく。

「反作用」は、何らかの形で「欠落」を与えられてしまった後、それを取り戻そうとする行動開始の合図です。「葛藤」とも関連していて、困難や対処を避け、敵への直接的な対抗手段を主人公が主体的に講じる、「決断」のシークエ

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意外性は作れる 中級者向け 物語構造を元にしたシーンメイキング「帰還」「気付かれない到着」「暴露」「判別」「姿の変更」 クリエイターの為の批評コラム

前回はこちら。

前回同様物語構造とシーンメイキングの話をします。前半は個別の物語構造ユニットの取り扱い、後半は具体的な場面構成に(ほぼ{多分})共通の演出法を反復を含めて詳しく。

まず「帰還」ですが、「31の機能」では「戦い」「敵の勝利」の後、更に「欠落」が「回復」された後、話によってはもうクライマックスが終わってエピローグに入っている段階です。「欠落」を生じさせる「敵対行為」はその前、物語的

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中級者向け 物語構造を元にしたシーンメイキング「敵対行為」「戦い」「敵の勝利」「迫害」 クリエイターの為の批評コラム

前回はこちら。

前回は物語構造とキャラクターメイキングとリアリズムの話でしたが、今回はとりあえず盛り上がるシーン作りという観点から書いてみたいと思います。というのも「31の機能」の内もう残っている要素が少なく、それらも特に話が広がらなさそうだからなんですが……。

全体に共通するコツとしては、ただ構造ユニットを使うのではなく「逆行する感じ」を利用する事。他には物事がすんなりいかないように常に何か

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中級者向け 物語構造とリアリズムとキャラクターメイキング「不在」「探査」「漏洩」「幇助」「悪計」「道案内」「照準」「根拠のないみせかけ」 クリエイターの為の批評コラム

前回はこちら。

さて今回からちょっと趣向を変えまして、「物語らしさをどうやって演出するかの具体的演習」から「物語らしさと魅力的なキャラクター」に軸足を移してみようかなと思います(上手くいかなかったらすぐ戻します)。魅力的なキャラクターの作り方として「ドラマを生む構造をキャラクターに埋め込む」という発想を以前書きました。シクロフスキーの言う「逆行する感じ」を持たせろ、と書いたはずなのですが、物語構

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中級者向け 物語構造のパート別組み合わせバリエーション「変身」「変装」「追跡」「逃走」(おまけ付き) クリエイターの為の批評コラム

前回はこちら。

さて、物語らしさをどうやって演出するかの具体的演習の為のこのコラム、今回は使用するユニットがちょっと多くなりそうです。というのは、ユニットの特性上個別に書くには物足りない物は他の関連するユニットと連携させるやり方を示した方が使い方がよりよく分かると思うので。

まず「変身」「変装」ですが、何の目的もなくやっても物語らしくはなりません。「興味本位で」くらいの理由だと作品のターゲット

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中級者向け 物語構造のパート別組み合わせバリエーション「調達」「出発」「救援」(おまけ付き) クリエイターの為の批評コラム

前回はこちら。

さて、物語らしさをどうやって演出するかの具体的演習の為のこのコラム、今回も「調達」から始めます。

「調達」では何か物語の進行上必要なキーアイテムなどが手に入りますが、これにドラマを感じる構造「逆行する感じ」を加えるとどうなるか。キーアイテムが「役に立たない」「実は使い方が違った(使い所が違った・本当に役立たずだった{勘違いや見込み違い、情報不足などが原因かも})」「思ったような

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中級者向け 物語構造のパート別組み合わせバリエーション「葛藤」 クリエイターの為の批評コラム

前回はこちら。

さて、物語らしさをどうやって演出するかの具体的演習の為のこのコラム、前回の予告で「葛藤」を扱うと書きましたがいきなり「調達」について書こうと思います。

プロップの「31の機能」の中にもあるものの、現代日本では「必要なアイテムをクエストして入手するあのシークエンス」と説明した方が早そうです。ここから理解できるのは、本当に大変なのは何が必要なのかが分からない時だという事で、しかもこ

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中級者向け 物語構造のパート別組み合わせバリエーション「禁止」と「違反」 クリエイターの為の批評コラム

前回はこちら。

物語構造論を利用しても面白い物語にならない、という説をどう覆すか、という批評的目的がありつつ、面白い物語に見られるパターンを知り使いこなす方法について書いていく方向性が見えてきた連続コラム。今回は「禁止」と「違反」です。

これまで大体「逆行する感じ」があると物語らしくなる、というヴィクトル・シクロフスキーの成果を用いてきたのですが、今回は持ち出すまでもなく逆行しています。「やっ

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中級者向け プロット・ストーリーを軸にした物語構成バリエーション クリエイターの為の批評コラム

前回はこちらですが、ここからの繋がりで。

物語制作中級者向け、ストーリーやプロットが物語や作品とどう関わるかなどの、特徴や分析。

大塚英志がその作劇術で使用した事で有名になった「依頼と代行」というモチーフ。主人公自身に何か目的があって自身で解決に乗り出す、という形とは別の、何かが必要だが自力でそれをする事が出来ない為に誰かに頼もう、という役柄がおり、それを主人公が請け負うタイプの類型です。探偵

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