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“何か1つを極めるなんて、無理!”という人のための戦い方|読書note「RANGE-知識の「幅」が最強の武器になる」

転職するにあたって、前職の先輩がオススメしてくださった1冊。
端的に言うと、久々の良書でした。

1,読了直後の率直な感想

「あぁ、私の強みはここにあったのか」そして「この武器を使いこなすことで、私の生き方の効果は最大化されるのだろうか」ですかね

私は学生時代いろんな運動部を転々としていまして。
小学校バスケ、中学校ハンド、高校ソフトテニス、大学フィールドホッケー。その中でも、小学校のバスケ以外、どの競技でもポジションを転々と…

前職でも3年目には職種転換、4年目以降いろんなチームを転々として、5年弱で転職。

今回の転職で確信したのは「たぶん1つのことを極めるような生き方はしないんだろう」「この転職も最後ではなくて、これからも転々とするんだろう」ということで。

なにか1つコレと決めて、はやくから専門分野を積み上げていってる人にはかなわないなぁと思っていたんですよね。

2,心に響いた言葉

学生の潜在能力を評価する大学の職員や、患者の能力を予測する精神科医、職場の研修で成果を上げそうな人を見つける人事担当者など、様々な人たちを調べた結果をまとめたものだった。その本は、心理学界を揺るがした。なぜなら、さまざまな現実世界の場面で、経験が能力の向上には結びつかないことが示されたからだ。

第1章から、これですよ。私自身、前職で面接を担当した経験があったんですが…人事担当者は(人の能力を予測するという面において)経験が能力の向上に結び付かないというんです。

本書を通読したところこの理由はおそらく2つで、
1,同じパターンが繰り返し現れ、非常に正確なフィードバックがすぐに提供されるような“親切な学習環境”ではないから
2,1つの領域に特化した専門家はすべての事象を自分の世界観に当てはめて理屈をつけ、自分の世界観に反する意見に耳を貸さなくなり、偏りやすいからだと思われます。

また、“予測”の世界に限らず、研究・開発・創造の世界においても必ずしも1分野に特化した経験を積むのが理想的というわけではなさそうで、

「ブレイクスルーが起きるのは、その道を歩き始めたが、別の道にさまよい出て、まるで今始めたばかりのようなふりをするときであることが多く、それはイノベーションと熟練のパラドックスだ」

さまざまな領域のクリエイターを対象とした研究によると、多様な経験をもつ個人は専門家のグループよりも創造に貢献するという。もし、ある分野から全く別の分野に移っても、その経験がムダになるということはない。

ということのようです。

これは個人的には前職における個人的な経験と一致するところで、3年目に職種を転換し、4年目以降にいろんなチームを渡り歩いたことでそれぞれの場における”新しいこと”をやって成果を出してこれたんですよね。

肝なのは“難易度の高いこと”ではなく、”前やってきたことをこのチームで応用するならこんな感じかな”くらいのものだったことです。

これはあくまで1つの会社の中での部署移動の話でしかありませんが。
本書では古臭い技術を活用していくつもの大ヒットゲームを作りだした任天堂の話を取り上げながら“水平思考”なんて言葉で解説されています。

あー、なるほど。私はこういう武器でこれまで戦ってきたのね、と。
言語化してもらったように感じ、すっきりしました。

そして、この武器はどうやらこれからさらに重要度を増していきそうなんです。というのも

専門家が情報をたくさん生み出すほど、好奇心の強いシロウトが、広く公開されているが分散している情報をつなぎ合わせて貢献できる機会が増える。

とのことで。

インターネットの台頭により急速に情報交換の速度も影響の広さも増大していく中で、それを”つなぎあわせる”役回りによって価値貢献できるチャンスをつかんでいく。これを私の武器にできたらと思った1冊でした。

3,読んでどうなる?

一番は「本筋を外れる」勇気を持てることじゃないかなと。
それは大学の専攻とは違う会社に就職をすることかもしれないし、コアキャリアから業種・業界を移ることかもしれないし、小さな“逸脱”としては余暇の時間の過ごし方かもしれませんが。

そろそろ一言でアドバイスをしよう。
それは「後れを取ったと思わないこと」だ。

ということで。やりたいと思ったことを「いまさら」と思わずにやってみる、そんな背中を押してくれる1冊です。

4,こんな人におすすめ

  • 人事・人材業界の方々

  • 学生(高校生・大学生くらいがよさそうですかね)

  • 部下を持つビジネスマン

  • 教育者(学校の先生や、習い事の先生など)

  • 子を持つ親

にオススメですね。

というのも、「1つの“強み”を軸に、関連する広い領域と知恵のやりとりをすることで高い成果が出せる」という個人の仕事論の本であると同時に、

「整合性(価値観やビジョン、目標など)は組織の成功に全く影響を及ぼさない。矛盾をはらむような“幅”のある組織・リーダーこそ有能である」という組織論の本であり、

「小さいころから何か1つ道を決めて取り組ませるより、まずは広くいろんなことを経験させよう」「カンタンに答えにたどり着くよりも学ぶ難しさを味わった方が学びは定着する」という教育論の本でもあるので。

参考文献一覧を除いても400ページ以上あるこの本を通読するのは骨が折れるという人はP.401~P.407の「解説」を先に読んでもらって、興味のあるところだけ本文を読んでみてもらってもいいのかなと。

この本は何回か読み返したい1冊でした。

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