13歳の春、初めてのスカート
小学校6年から中学1年へと変わる春休み、母と姉は二人でお買い物。父は会社、私は一人でお留守番をしていた。
女の子の格好をしたい。そんな想いが頭をよぎった。今は誰もいない。家には姉の洋服がたくさんあり、成長した私がちょうど着られるぐらいだった。
でも姉の洋服を勝手に着るのは悪いな。でもスカート履きたいな。そんな相反する思いが頭をよぎった。頭の中で空想が巡る。
そんなに着たいならちょっと借りて着ちゃえばいいじゃないか。そんな気持ちが頭をよぎった。
吉祥寺の東急デパートに買い物に行っている母と姉は当分帰ってこないだろう。そう思うと私は洋服を脱ぎだし、初めて女の子の洋服に袖を通した。スカートを着たけどなんだかウエストの位置がおかしい。
そうか、もっと上でボタンを留めればいいんだ。鏡の前に座ると、そこにはかわいらしい女の子が座っていた。でもなんだか膝がおかしい。あっ、ひざっ小僧をくっつければいいんだ。それから一人ファッションショーの始まり。母の口紅もつけてみた。
そんなこんなで時間が過ぎて行って、気づいたら母と姉が帰ってきてしまった。あっと思う間もなく姉にスカート姿を見られてしまった。
「どうして私の洋服きてるの。ママに言いつけるからね」「ママには言わないで」そして万事休すかと思った。でも母はそのことは一切言わなかった。
そして、家族の中でただ一人1階で寝ていた僕は、夜みんなが寝ると女の子の格好をするようになった。
そしてその格好で外出した。今から考えると女の子が一人で夜、外に出るなんて本当に怖いことだと思う。でもまだ中学生だった僕は、子供だったこともあってそんなこと思いつきもしなかったんだ。
そして、なんで女の子で生まれなかったんだろう。なんでウソついて男子の制服を着なくちゃいけないんだろうって強く思った、
でもそんなことを言っても誰も頭のおかしい子だと思うような、そんな時代だったんだ。
中学高校って制服があったから、本当は女子の制服を着たいのに、それはかなわぬ夢だった。
高校は池袋にあった。そして修学旅行で飛行機に乗るのでスカイメイト(今でもあるのかな?)のカードを取りに行ったとき、制服(夏服だったので色つきの開襟シャツ)で行ったのに、僕だけ性別欄が”F”と書かれていた。ほかの男子はみんな”M”と書かれていたのでおかしいなと思っていたが、高校生の僕にも友達にも、その意味は分からなかった。
高校ではロックと秋葉原が大好きな普通の男の子だった。時々家で女の子の格好を隠れてすることを除いては… ~続く~
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