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体幹機能の評価って何がある?

職場で「あの患者さんって体幹機能悪いよね
って、病院でよく聞くワードランキング第8位に
入るくらいに聞く言葉じゃありませんか?
実際に話してる方々は何をソースに話しているのか
気になったことはないでしょうか?
患者の見た目?セラピストの感覚?経験?
今回はそんな不思議を
少しでも紐解けたらなと考えています。


FACT

まずは,体幹機能評価でググると一番上に出てくる体幹機能の評価と言ったらこれでしょというFACT(Functional Assessment for Control of Trunk)から説明していこうと思います.

FACTとは?

10項目20点満点の相対的に体幹機能を見るものであり,課題の一部には上下肢の運動を含んでいるものになります.

測定姿勢

可能な限り両下肢足底を床面に接地した端座位.
測定場所:40〜45cmの高さで一定の硬さの座面を持つ治療台やベッドなど.
また測定場所は統一するのが望ましい.

検査手順

1〜10の項目の検査を順に検査する.FACTは最大能力を測定するため,
3 回試行した際の最大パフォーマンスを代表値とする.

カットオフ値

FACTのカットオフ値はSIASの体幹腹筋力とBRS下肢と組み合わせることによって効力を成す.
FACT【14点】SIAS体幹腹筋力【3点】BRS下肢【stageⅤ】の基準をクリアすると脳卒中片麻痺患者の歩行自立に対してのカットオフ値として成り立つ.

TCT

次にTCT(Trunk Control Test)についてです.
急性期の脳卒中」に実施することで効果を発揮する評価です.
利点としては簡易的で時間がかからないことが特徴です.

TCTとは?

4項目100点満点で構成される体幹の制御機能検査です.
点数配分が【0,12,25】点の3段階で評価するバッテリーになります.

評価項目

  1. 麻痺側への寝返り

  2. 非麻痺側への寝返り

  3. 背臥位からの起き上がり

  4. 座位保持

配点

  • 0点:介助を必要とする

  • 12点:何らかの手段を用いる(柵などの使用)

  • 25点:問題なく動作の遂行が可能

カットオフ値

  • 発症から,1週間以内のTCTの得点が40点以上であれば6週間後に歩行自立になっる可能性が高い.

  • TCTの4項目の座位バランスで30秒以上座位保持可能とMI(motricity index)の麻痺側下肢が25点以上の場合には6ヶ月後の歩行が自立になる可能性が高い.

movement control test

最後にmovement control testについてお話ししていこうと思います.
これは、体幹と言っても腹横筋や多裂筋といったコアが上手く使えているかみるものでつまり,モーターコントロール(運動制御)が正常に機能しているかを測る評価になります.

movement control testとは?

立位,座位,四つ這い,腹臥位,片脚立位といった様々な姿勢から成り立つ,
6つの検査で構成されています.

評価項目

【股関節屈曲】
姿勢:立位で腰を動かさずに股関節を屈曲する.
陽性:股関節の屈曲角度が50°になる前に腰椎の屈曲が起こる.
または,屈曲角度が50°未満の場合.
陰性:腰椎が中間位で股関節が50〜70°屈曲可能.

【骨盤の後傾】
姿勢:立位で骨盤の後傾を行う.
陽性:骨盤の後傾が困難,殿筋の活動が乏しい,胸椎の屈曲性代償.
陰性:胸椎を中間位のまま保持し骨盤の後傾が可能.殿筋の収縮が見られる.

【膝関節の伸展】
姿勢:端座位で腰椎の前弯を矯正して,膝関節の伸展を行う.
陽性:腰椎を固定した状態で膝関節30〜50°の伸展が可能.
陰性:膝関節伸展時に腰椎が後弯してくる.

【骨盤の前後移動】
姿勢:四つ這い位で骨盤を後方に揺動(股関節の屈曲)をする.
陽性:骨盤を後方に移動した際に腰椎の屈曲代償が見られる.
陰性:腰椎の代償なく骨盤を後方に移動(股関節の屈曲120°まで)可能.

【膝関節屈曲】
姿勢:腹臥位で膝関節の屈曲を行う.
陽性:膝関節の屈曲を行うと腰椎や骨盤が代償で前弯,前傾し始める.
陰性:腰椎や骨盤が中間位で膝関節屈曲が90°まで可能.

【片脚立位】
姿勢:片脚立位で患者の足は床から12cm離す.
20cmの定規を用意し定規の中央が患者の臍にくるように設定する.
陽性:臍の移動が左右2cm以上,または左右いずれかの方向に10cm以上ずれる.
陰性:陽性の移動範囲以内に収る.

カットオフ値

カットオフ値と言うわけではないのですがここでは分かりやすく,
そう表現させていただきます.
上記の2項目以上が陽性になった場合,モーターコントロールの異常が示唆されます.

終わりに

以上が私の知識で説明できる限りの体幹機能の評価になります。
他にもMMTやSIASでも体幹の評価は含まれていますが、今回は体幹に重きを置いた評価をお話ししたかったので割愛させていただきました。
初めに話した職場での「体幹が悪いね」という会話はもしかしたらこういった評価を行った結果なのかもしれませんね。

『引用,参考文献』
FACT
臨床的体幹機能検査(FACT)の開発と信頼性
理学療法科学 21(4):357–362,2006
脳卒中片麻痺者の歩行自立に影響する運動機能とその基準
5 月 29 日(日)10:00~11:00 産業振興センター 第 12 会場(体育実習室)
【ポスター 神経 P25】
TCT
Collin C, et al:Assessing motor impairment after stroke:a pilot reliability study. J Neurol Neurosurg Psychiatry 1990;53:576- 579
Smith MC, et al:The TWIST algorithm predicts time to walk- ing independently after stroke. Neurorehabil Neural Repair 2017;31:955-964
Veerbeek JM, et al:In accurate prediction of gait in nonambula- tory stroke patients possible within 72 hours poststroke? The EPOS study. Neurorehabil Neural Repair 2011;25:268-274
movement control test
Luomajoki H et al. Reliability of movement control tests in the lumbar spine. BMC Musculoskelet Disord. 2007 Sep 12;8:90.
Luomajoki H et al. Movement control tests of the low back; evaluation of the difference between patients with low back pain and healthy controls. BMC Musculoskelet Disord. 2008 Dec 24;9:170.

※最後までご拝読ありがとうございました。
これは一個人としての知見であり、内容全てが臨床の現場で必ず当てはまるものではありません。
ただ、これからの皆様の臨床のヒントに、少しでもお役に立てば幸いです。

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