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20代前半のライター・作家・物書き志望の女性へ伝えたいこと

私が物書きになりたいと思ったのは小学校高学年の頃。既に地元では作文コンクールで表彰され、何度も地元の新聞にインタビューが掲載されました。その際、記者の方から「将来は新聞記者になりたいんですか?」と聞かれて、そんなこと考えたこともなかったし、第一取材の仕方も知らなかったので(今思うとあれは取材だったなと思う出来事はある)曖昧に応えた覚えがあります。

さて、タイトルにある通り、若くて作家やライター、物書き志望の方へ、うるせーババァだなと思われそうですが、伝えたいことがあります。

実は先日、とある自称新人物書きの20代前半の女性から「本を出したので宣伝してほしい」という内容のDMが届きました。でも文面が途中で切れていて意味がわからなかったので、とりあえず「こんばんは」と返信をすると、誤って途中で送信をしてしまったとのことでした。これで、全文一気に送られてきていたらスルーしていたと思います。出版した本の版元が版元だったので。その女性からは「今までライター・編集と名のつく人に売り込みまくったのに返信が来たのは初めてです!」と感激されました。

それまでその方は何十社と出版社に持ち込みをして断られ、最終的に行き着いたのが自費出版で有名な会社でした。その方はおそらく自費出版ではなく費用を会社と折半する共同出版のようでしたが、話を聞いていると宣伝するにはお金がかかり、インタビューをしてくれるサイトに登録をしたらお金を取られてインタビュー記事が掲載されたとのことでした。また、おそらく本を出すためにいくばくかのお金を出しているようでした。通常、商業出版で著者がお金を出すことはあり得ません。

彼女にどう宣伝すればいいのか相談されたので

・献本冊数に上限がないようであればとにかく著名な方に献本して書評を書いてもらう。上限があるようであれば、自腹で「この人に読んでもらいたい!」という人に献本する

・書店挨拶に行ってポップなどをおいてもらう

・知人ライターは「このパーソナリティーさんが僕の本が好きだと言っていた」とラジオ局に売り込んでラジオ出演した

・知人ライターは営業担当の人と仲良くなっていた

など、通常ならライター講座やイベントなどでお金を払って伝授していることを伝えました。

そこで驚いたのは、彼女曰く、リリースや献本は存在しない、書店挨拶に著者が行ってはいけなくてすべて営業担当に任せることになっている、というルールでした。書店に行けないってありえなくない!? 色々調べていると、その会社は書店においていると言いながら実は置いていなかったり、目立たない場所に置いていたりするので著者が書店に見に行ってはいけないことになっているようです。はっきり言って詐欺です。

他にも印税など個人的に調べたところ、ほぼアルバイトの時給に等しかったです。初版もたった200部。(私が読んだ自費出版した人のブログ情報)まともな出版社なら初版、最低でも4000部以上刷ってくれます。そして通常、単行本を1冊出すと会社にもよりますが重版しなくても100万前後の印税が保証されます。しかし、本を1冊書き上げるのは多大な労力と時間を要するので100万円は妥当か少ないくらいとも言えます。

彼女にこの現実を知らせたところ、自腹で献本していただいたので読んで素直な感想をお送りしたら、少しメンヘラちっくだったようで、諸々の事実にショックを受けてその後ブロックされてしまいました。

彼女が悪いとは思いません。悪いのは悪質な自費出版社です。

私もライターとして活動し始めた25歳の頃はいろんなところでなめられたり、「プロデュースしたがりおじさん」に食事に誘われて結局仕事はもらえなかったり、とんでもなく安いギャラで大量に書かされたりしました。突然呼び出されておじさんたちのお酌の相手をさせられたこともあります。

若い作家・ライター・物書き志望の女性は、早くデビューしたい! そのためには何でもする! という意気込みの人もいると思います。私も駆け出しの頃は仕事を選ばず何でもやっていました。身体も張っていました。

でも、世の中には悪い大人、変な大人もた〜くさんいます。どうか、騙されないでください。傷つくような結果にならないでください。まずは出版業界の知り合いを増やしたり、出版関連のイベントに足を運んだり、出版社や編プロにバイトでもいいので勤務して業界を知ってください。

そうすれば、本を出したいという純粋な思いを利用する悪い人を避けられます。私も未だに、利用されそうになることがあり、そんなときは先輩ライターに相談しています。相談できる親切な業界の方と知り合ってください。

このnoteを、DMを送ってきた彼女が読んでくれることを願います。


****1月4日 20:05加筆****

読んでいただいた方から

・初版4000部以上でない版元もある(きちんとした出版社でも)
・本の種類(学術書など)になるとまた違ってくる
・100万円の保証はない。1000円の本なら40万じゃないか。100万をすぐに稼げるという印象になりかねない
・若い女性を対象にしているの、関係ない

など、正月は終わったのに重箱の隅をつつくようなご意見をいただいたので加筆いたします。

今回はあくまでも私の体験ベースに、DMをくれた女性に届いてほしくて書いたので、必ずしもすべての出版社がそうとは限りません。

・初版4000部以上でない版元もある(きちんとした出版社でも)

→「たいていの単行本だと初版4000部くらいだよね」と多くのライターの顧客を抱える税理士さんに言われたことと、某編集さんから様々な本の初版部数をきき、その中に4000以下がなかったので、4000がベースだと思っていましたが、もっと少ない場合もあります。

また、1冊目を出した際、重版しなかったので担当編集に「もっと宣伝してほしい」と訴えたところ「新人でこの初版部数は普通ありえないので、重版したことと同じと思って焦らないでほしい」と言われました。なので、私は相当恵まれていたようです。

・本の種類(学術書など)になるとまた違ってくる

今回、学術書の話はしておらず、文芸面、ノンフィクションやエッセイなどの単行本を主にしています。DMをしてきた方が自称新人エッセイストだったので。

・100万円の保証はない。1000円の本なら40万じゃないか。100万をすぐに稼げるという印象になりかねない

こちら、電子印税の存在を忘れていました。忘れた頃に突然届く、電子印税通知書。それ込みだったのと、デビュー作の単行本は定価1500円+税でやや高めだったので最終的に100万超えになりました。それに、労力・時間がかかっているので100万は安いとも先述しています。決してすぐ稼げるわけではありません。

・若い女性を対象にしているの、関係ない

物書き界隈に限らず、若い女性は界隈の変なおじさんたちに滑られやすく、ホステスがわりにされやすいです。先述したとおり、私もお酌のためだけに呼び出されたことがあります。(なのにしっかり私も会費を取られた。当時貧乏だったのに)また10年前の話ですが、枕営業を強いられたライターさんも数名います。

今は#Me too運動などのおかげで、そういうことをするおじさんは少なくなったと思いますが、まだまだ若い女性はおじさんたちになめられやすく、利用されやすいから書きました。無関係ではありません。

以上。

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