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かきごおりは300円

もともと暑さには弱かったけど、最近はほんとうにひどい。
たとえ短時間でも暑い中歩いたりするとぐったりしてきて、涼しい部屋に入った途端にくしゃみや涙が出てきたり、かゆくなったり目が腫れたりするようになってしまった。
寒暖差アレルギーか自律神経か老化か。
子どもがまだ1歳なのに外もろくに歩けない親で申し訳ない、情けない。

暑いのが苦手なので、つめたいものは好きだ。
昔からかき氷が好きで、子どもの頃の納涼祭では、親から渡された数百円のほとんどをかき氷に使っていた。
近所のおじさんが売っているものなので、ひとつ100円。
「シロップ全部かけて!」
と言って、赤いの黄色いの緑の青いのをかけてもらい、色も味もわからなくなったどす黒いものを「えへへへへ」と笑いながら食べていた。口はその色に染まった。

昨今はお洒落なかき氷が流行りだという。
見た目にかわいく、フルーツがのっていたり氷がふわふわだったりするらしく、値段は1,000円を超す場合も少なくない。
え?
氷に1,000円?
とケチなことをつい考えてしまう。
1,000円のかき氷、美味しいんだろうなあ……。

今日は家族で公園に行った。
今時は屋台ではなくなんでもキッチンカー。
こじゃれたキッチンカーで、かき氷が売られていた。
ひとつ300円。
「シロップは何種類でもかけられます」と可愛いお姉さんがにっこり。
メニューはいちご、メロン、レモン、ブルーハワイなど安定のラインナップだった。
「いちごひとつください」
と言うと、
「いちごだけでいいんですか?何種類かけても無料ですよ」
と言う。
それならと、レモンも追加してもらった。
赤と黄色のきれいなかき氷ができた。
ひと家族でひとつしか買わなかったからか、ストローのスプーンをふたつつけてくれた。色違いなところがまた、ありがたい。
なるべくシロップのかかっていないところを子どもの口に入れてやると、目を輝かせて喜んでいた。

暑い中で食べるかき氷は格別の食べ物だ。
歩きながらすくったら氷がくずれ、サンダルの足元に落としてしまったり、冷たすぎてしばらく呂律があやしくなるのも悪くない。
どうせまた暑くなるのだけど、一瞬の涼はありがたい。
楽しいかき氷の思い出ができたから、この夏はもうこれでよい。
はやく涼しくなってくださいおねがいします。

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