蛇の噂
土から出てきた全長1.5mある蛇は
桜の幹へと引っ越しを考えていた
そこには自分がすっぽり入るくらいの穴が開いていて
あまりニンゲンから気づかれにくくて最適そうだ
ただ問題は移動するときだ
ニンゲンに見つかっては捕らえられてしまうかもしれない
身体に【毒蛇ではありません】てニンゲン語で書きたい…
いやそれだけじゃダメだろうけど
今までいた土の場所は花が植えられるので引っ越しせざるをえない状況
ニンゲンの目が気になる
なぜならイジメられた仲間の噂を聞いたからだ
噂話は自分にとって悪い内容ばかり入ってくるし頭に残る
自分に関係のない噂なら気にならないのにな
でもそういう噂も誰かにはとっては辛い気持ちになる噂なんだろうな
僕って勝手だな
不安だこわいどうしようかな
『よう!蛇!どこいくんだ?』
アマガエルに声をかけられた
アマガエルは出てきても捕らえられることはあまりない
むしろ捕らえられても自由はなくなるとしてもかわいがられたりする
あいつはいいよな…と思いながら
『桜の幹に引っ越そうと思ってんだけどこわいんだ』
するとアマガエルは言った
『…お前は蛇だからなぁ。でもな、俺聞いたことあんだけど
最近は爬虫類ブームってやつで蛇を好きなニンゲンも多いんだぞ』
『ほんとに?』
『ああ!だから悪い噂を気にしないで行ってみ
もちろんお前の気持ち次第だけどな
何かされそうになったら横で俺が鳴いてニンゲンの気をそらしてやるよ』
アマガエルに言われて勇気を振り絞って桜の樹へと向かった
「あ!!蛇!大きい!!」
「ほんとだ!こわい!でもすごーい!」
あっ!もう見つかった…!ニンゲンに…!どうしよう…!
でも進むしかない…!
「カメラカメラ!動画がいいかな」
「かわいいな、コイツ」
「春なんだな~って思うね」
…ん?攻撃してこないどころか…なんか喜ばれてる…?
ニンゲンたちは近づいてはくるけど、僕に何をするわけでもなく笑顔だ
順調に移動した僕は桜の幹の穴に長い身体を折りたたんですっぽり収まると
「すごい!こんな小さな穴に収まってる!」
「へ~こういうとこにいるんだね~蛇って」
「毒蛇は気をつけなきゃだけど初めて知ったー!」
関心されている
なんだろうこの気持ちは
悪い噂だけ見てアマガエルの言ってた噂に気づいてなかった
ほんとだったんだ
僕がラッキーだったのもある
でも、これからは自分にとっていい噂を頭に残して
覚えていようと思った