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折り合い

ロビーから泣き声が聞こえる。お母さんにへばりついて合体して更衣室へ入って来た。長い階段をこの状態で上がって来たお母さん、がんばったねーって思う。そして、そのお母さんの対応がいいなーと思ったのは、あれこれと子どもの頭の中を複雑にしなかったことでした。

泣きながら更衣室の中のベンチに座り、お母さんの横にぺったりくっついている。その横に私はゆっくり座り「どうしたの?」と聞きました。ここからの反応は、人によって違います。いろんないろんなパターンがあります。それがまた面白いと感じてしまう私の余裕は、経験からなんだと思います。

単純にお母さんと離れることが嫌だと思っている子。眠つけなくてグズっている子。水が怖くて気が進まない子。たいていこの3つのうちのどれかですが、その度合いや表現の仕方はいろいろなので、複雑に見えます。

折り合いをつけるのは、できるだけ子ども自身につけてもらいたいです。

といっても小さい子には難しいかもしれませんが、それでも子ども自身が選んで欲しいです。まわりの大人は、子どもが折り合いをつけやすい環境を作ります。

例えば、駄々をこねている時、頭の中が混乱している時なので、一旦その場から退散させます。傾聴したり共感したりするけど、あれこれと思い通りにはさせないスタンスです。でも、罰を与えるような「~しなければ~するよ!」などは絶対言いません。

子どもの思い通りにさせる選択肢や、罰を与えるかのような選択肢などは、かえって子どもの頭の中を混乱させて、大切なところが見えなくなります。そして、パニック状態はどんどん複雑になっていきます。

「怒られるからプールに行く」なんてことも嫌だなー。

「お母さんが大好きなんだね」「(眠たくて)なんだか嫌な気持ちなんだね」「お水がかかるのが嫌なんだね」といった具合で、傾聴したり共感したりすると、たいてい落ち着いてくることが多い。落ち着いてきたら、これからどうするか選んでもらいます。

ただ、ここは「プール」だということ。プールに入りに来ている。プールの練習をするために来ている。という状況なので、そのあたりは考慮してもらいます。なので、「プールの練習の中の何ができるか」を考えます。

折り合いをつけることって、練習が必要です。大人でも折り合いをつけるのが苦手な人も多い。『思考のクセ』になって折り合いをつけずに愚痴ってモヤモヤしていることが心地よくなってしまって、結局その状況が改善しないままになることも。

子どもが折り合いをつける前に、まずはまわりの大人が折り合いをつけれるようになること。折り合いをつけつつ、子どもが折り合いをつけることに対してサポートする。

これは、思春期の子を持つ親や不登校の子をもつ親にも言える事かなと、起立性調節障害で不登校だったの息子の親だった経験上、思います。

心の整理は、大切ですね。

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