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怪談

昨日、甘味処に行った。


ひとりで。


ひとりで甘味処かい、って思うかもしれないけど、
僕にとっては何も不思議じゃない。


だっていつもひとりだし、和菓子系好きだし。


で、数分待って、店内に入る。


二人掛けの席に案内された。


向かいの椅子に荷物を置いて、
席に座る。


注文するものは大体決めっているので、
一応お品書きは開くけど、
おしぼりとお茶を持ってきた店員さんに、
そのまま注文を伝える。


注文を終えて、目の前にあるおしぼりとお茶。


甘味処のお茶は美味しい。


スマホをいじってゆっくりした贅沢な時間。


数分すると、店員さんが来た。


あれ、もうできたのか?早いな。


と思うと、その方はお茶とお手拭きを僕の机に置いた。


ご注文はお決まりでしょうか?


ん?


いや、しました。


あ、そうですか。


そう言って彼女は厨房の方に去って行った。


僕の机に置かれた、
二セット目のおしぼりとお茶。


間違えて、既に注文を取った人に
再度注文を取ってしまうことは、
なくはないのかもしれない。


でも、僕は一人でおしぼりとお茶が1セット。


その机に、もう1セットおしぼりとお茶。


それはさすがに、ミスとして珍しすぎないか?


いや、まだミスならいい。


でも、ミスでないとしたら、
彼女にだけ見えているのか?


僕の向かいに座る「もう一人」が。


正解がなんだとしても、
怖い体験だった。

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