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悩める起業家にオススメする本 ー 仕組み作りの思考で会社が変わる

日本一のかご屋を目指す、ORIKAGO代表のひかるです。

今回は小さな会社の7年目の経営者として、最近読んで大きく影響を受けた本について、内容と感想を書きます。

ご紹介する本は起業の神様とも呼ばれているマイケル・E.・ガーバー氏の著書『はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術

数年前にアメリカや日本でも話題になった本らしいのでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。私は昨年、ある記者の方に英語の原文をオススメされ、購入したものの何となく本棚にしまっていたのですが、今回ケニアに出張するにあたり旅のお供に読み始めたところ一気に引き込まれました。

この投稿では、本の中で私が特に影響を受けた部分にフォーカスしていきます。

ビジネス成功のカギは仕組み作り

本の基本のテーマは「仕組み作り」。個々の人材や経営者の腕に頼らない仕組みを作ることで、初めてビジネスは成功できる、という教えを詳細に語っています。

例として、サラさんという女性起業家が登場します。彼女は、自慢のアップルパイ作りを仕事にしよう、とパイ専門のお店を開きますが、毎日パイ作りに追われ、信頼できる人を雇ったのにある日突然辞められて、一人で全ての仕事を抱え、休みも取れず、途方に暮れています。

この女性にマイケルが、ダメなところを指摘し、未来に向けてアドバイスしていく体で本が進んでいくので、読み手にとっても分かりやすい文章になっています。

私が最初にこの本に引き込まれたのは、パイ専門店のサラさんに強く共感してしまったからです。私の場合は、パイ作りのように独自のスキルや技術を生かして起業したわけではなく、アフリカ農村部の女性たちの雇用を創りたくて始めたので起業理由がまるで違うのですが、それでもサラさんが抱える苦悩が痛いほど理解してしまいました。

一言で書いてしまうと私が動かなければ、ビジネスが止まるという呪い。本当は俯瞰で見て、考え、次のステップについて考えたいのに、実際は明日までの「やることリスト」で頭がいっぱい。休みをうまく取れない反面、休めていないことへの不満も募って、理由あって始めたはずの仕事がどんどん嫌いになっていく。

幸い、サラさんと違って私の周りには支えてくれる同僚さん達がいてくれるものの、日々の仕事に疲弊していってしまう気持ちがとても良く分かるのと同時に、「変われる方法があるのなら私も知りたい」と前のめりになって読むようになりました。

経営者の中にある3つの人格

ガーバー氏曰く、経営者の中には 職人、マネージャー、起業家 の3つの人格が備わっているとのこと。人によって3つのバランスは違えど、失敗するケースで共通しているのは職人が勝ってしまい、未来を見据える起業家の人格が負けてしまっていること。

つまり、日々の業務や作業を終わらせることの達成感を優先することで、その作業を仕組化して、先のことを考える時間がなくなってしまう、ということです。

ここだけ読むと、現在、スモールビジネスを経営されている方の中には「いや、でも自分は職人として始めたわけではないし…」と思われるかもしれません (私も最初そう思いました) 。ですが、実際に読むとご自分で思っている以上に職人型になっていたかもしれません。

この辺りの詳細は是非、本で読んでみてください!

会社と自分は別のもの

私がこの本を読んで、強く影響を受けたのは、会社と自分を切り離す、という視点です。これは、簡単に見えて意外と難しいことかもしれません。

事業を立ち上げたときから、「健全なビジネスには仕組み作りが大切」と言ってきました。ケニアで何を大切にしているか、という問いに対しても「仕組みを作ることで誰でも働ける現場になる」と毎回答えていましたし、自分では仕組み作りをしているつもりになっていました。

でも、気付いたら自分でやった方が速いと思ってしまったり、「まずは自分が学んでからマニュアルを作って誰かに渡そう」と思っていたはずの作業を未だに自分が抱えていることも。

起業家の自分が期限を付けて、「ほら、もう時代が進んじゃうから早くそのマニュアルを終わらせて!」と圧を掛けないと、結局のところ丁寧な仕事をしたい職人の自分が買ってしまうのです。

丁寧な仕事、作業にこだわりたい、と書けば聞こえがいいですが、結局のところそれは自分と会社をセットに考えてしまっているから

自分ありきの会社、ではなく、誰かに将来会社を売るとしたら?会社を商品としてプレゼンするとしたら?という視点を持つだけで、あれよあれよと今の問題点が見えてきます。

実際に売るかどうかは別として、自分がいずれ誰かに会社を自信をもって譲れるように、今何をすべきか、という視点に立つと、面白いほどにアイデアが浮かんできます。

経営者なら○○でなければいけない?

実は私は7年間会社を経営しているにも関わらず、経営者としての自信が全くと言っていいほどありません。

「私以外の人が代表を務めた方が会社はもっと成長したんじゃないだろうか」「未来を見据えるなんてできない」と、毎日のように後ろめたい気持ちになります。

新しい情報や勉強のためにもTwitterをよく見るのですが、先輩起業家が「経営者だったら四六時中、仕事のことを考えても楽しいと思うべき」「休みたいとかいう奴は経営者じゃない」といった類のツイートを見るのも辛かったです。

私は、オン・オフの時間をはっきり持ちたいですし、できれば日曜日くらいは仕事のことを考えないで過ごしたい。好きなドラマを見たい、スマホを見ない日が欲しいと思ってしまう私は、やはり経営者失格なのだ。こんな私がリーダーでは、スタッフの皆さんは迷惑だろう。でも辞めれば更に迷惑をかけるから辞められない、と2020年は一年中、そんなことをグルグルと考えていた気がします。

会社の失敗は自分の責任。だからこそ、希望がある

後ろ向きな自分に嫌気がさして、もう一度経営の何たるを学ぼうと思って読み始めたのがこの本でした。

ガーバーさんは、起業家に容赦ありません。本の前半では、「売上げが立っていないにも、仕事で忙しすぎるのも、優秀な人が辞めていったのも、全部経営者である君のせいだ」と何度も書いています。

でも同時に「自分のせいだからこそ、変えられるんだ」とも書いています。

ストレートな文章なので読むときに少し胸が痛むのですが、私はなぜかこの言葉に救われました。そうか、自分のせいで自分が苦しいということは、自分が変わればこの状況も変わるのか、と改めて思えたのかもしれません。

本の後半では、起業家の人格が目覚めたパイ専門店のサラさんに、経営の見直し術をステップ・バイ・ステップで紹介していくのですが、面白いことに最初のステップは「自分の人生のゴールを決めること」です。

10年後、20年後に自分はどう生きていたいのか。その未来図を基に、会社は自分の人生の中でどういう役割を担うのか、という順で考えるのです。

例えば、10年後にこういう生活をするには、貯金は最低このくらい必要、つまりはそのくらいに報酬を得られるように会社を○○まで成長させなければいけない、というように。

この思考の良いところは、会社があくまでも人生に通過点であり、一つのツールである、という視点を持てるところです。

休暇をとれるような経営者になりたいなら、そのための仕組みを今から築いていくこと。事業を世界に広げたいなら、そのために必要な準備を今すること。

「○○をしている人こそ真の経営者」なのではなくて、自分にとってベストの回答を見つけることが、結果的に会社の成長にもつながる、と気付いたときに、自信と共に「この会社を成功させるぞ!」という起業当時の熱い思いが戻ってきました。

悩める起業家の方に特にオススメ

もし今、私のように起業したものの、ビジネスの方向性に悩んでいる方がいらっしゃったら、是非一度この本を手に取ってみてください。

本に書いてあることが全て当てはまらなくても、読み終わったときに色々な気付きがあると思います。

他サイトでは「これから起業する方にオススメ」と書いてありますが、個人的には一度起業をし、思い描いていたのと違った・・・と感じている人ほど響く本であり、手に取って欲しい本だと思います。

失敗7割と言われるスモールビジネスが、どんどん大きくなっていきますように!

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かご専門店ORIKAGO 代表 岡本ひかる
Twitter: @Hikaru_Amber
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ORIKAGOのHP:  https://www.orikago.com
運営会社アンバーアワーのHP:  https://www.amberhour.com

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