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月収35,000円、家賃35,000円

ミャンマー人の平均月収とヤンゴン市内の一般的家賃だ。

(現地紙ミャンマータイムズの2017年記事から引用)
https://www.mmtimes.com/business/26713-average-salary-in-foreign-firms-almost-double-of-domestic-ones-survey.html

According to the findings, the average salary of respondents is about K480,000 per month, half of which earns more than K300,000 per month.
- 調査結果によると、回答者の平均給与は月額約48万チャット(約35,000円)で、その半分は月額約30万チャット(約21,000円)以上を稼いでいます。

記事によると、現地人材会社マイジョブスはミャンマー国内の勤労者2000人を対象に、インターネットを通じたオンラインでの聞き取り調査を実施した。質問項目は年齢や教育、賃金水準、職種、業種、直近の昇給の満足度などで、ほとんどの項目で1600~1800人の回答を得たとしている。

激動のミャンマーでは1年経つとだいぶ状況が変わっているが、それでも日本人からすればこの収入対家賃のアンバランスはインパクトのある数字だ。

収入の目安については、外資の参入が急増し会社毎の裁量幅が広いので何とも言えないところもあるが、自分の会社の人事状況から推定すると、
・地場産業に従事する人で日本円で月5,000~10,000円ほど
・多少の外国語を話すことができれば月20,000~50,000円ほど
・専門職や資格があれば月50,000~100,000円ほど
・エンジニアや幹部レベルで月100,000~200,000円以上
くらいが現状の相場かなと感じている。
最近は人件費の安さからオフショア開発が盛んで、エンジニアの給与はかなり向上している。それでも近隣諸国に比べてまだ安い。

不動産については、経済制裁により企業の進出が躊躇されていたのが緩和されたことで進出企業が増え、オフィスビルを含めた不動産が一気に高騰。
ヤンゴン市内の一等地は、瞬間的に六本木やサンフランシスコと同レベルまで急騰した時期もある。

相対的に家賃が高いので、兄弟、友達、同僚とシェアして暮らす事も多い。

2011年の民主化以降、こういったカオスな状況が起こり続けているのがミャンマーの現実である。
歪みの最中にビジネスチャンスは生まれやすいので、新興市場としては魅力でもある。そしてまたブルーオーシャンに果敢に挑戦する起業家や外資が参入する循環が起きていて、自分も然りだ。
こうして今のヤンゴンはイノベーティブな空気にある。

それでも人のためにお金を使うミャンマー人

ちょっと話が逸れてしまった。今回はビジネスの話じゃなく人の話がしたかった。

ミャンマー人は基本的に穏やかな気質の人が多い。そして、このような収入バランスで余裕なんて無いはずなのに、仲間と家族を思いやり、人のためにお金を使おうとする。奢ったり、プレゼントを贈り合ったりの日常だ。

後輩に奢るのは当然で、一番給料の安いであろうスタッフでも、一応役員の僕に対して、気を抜けばすぐに奢ってくれようとする。なるべく僕のために大事なお金を使わないように言うし、僕もその分お返しするのだが、あまりに頻繁なので最初は戸惑った。

言葉の分からない僕のために出勤時にモヒンガーを買ってきてくれるスタッフがいて、ありがたく頂いていたのだが、同時に複数のスタッフが買ってきてしまって3食分のモヒンガーがデスクに置かれた時には笑ってしまった。
モヒンガーをお供えしないと村を襲う鬼か、わしは。

「アジア最後のフロンティア」であり「アジア最貧国」でもある

「アジア最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマー。
一方で未だ「アジア最貧国」でもある現実。
リアルに助け合わないと生きていけないから、共生文化が根付いているのかもしれない。

もちろん盗んだり騙したりする人間はいるし、極力注意している。ただそれはどの国だってそうなのだから、むしろ今のミャンマーの経済レベルでは仕方ないのかなと思う。

少なくともこの会社では、素朴で心優しいスタッフ達に感心することが多い。

長期的には収入バランスは改善していくだろう。
だけどどうか、発展してもこの心優しい国民性が失われませんように。

日本では、かつてよりそれが失われてきた気がして。
そんなことを勝手に願っている。

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