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いにしえと今と風景と。美味しさも満喫の大山詣り。
病気平癒のお参りに行こう。
珍しいことを兄が言いました。
母が入院することになり、私が毎日看病に行けるよう兄の家に居候することになったのは数年前。夏と秋のはざまの頃でした。
兄の家に居候しようと思うなんて、私自身が少し信じられなかったのですが、通院しやすい場所であることがその時はラッキーに思えました。だから、日常の会話も弾まないであろう居候暮らしは想像できていましたが、そんなことを考えている場合ではなく…。
暫く滞在させてもらうよう私から頼みました。
幼い頃から仲が良いとは言えない兄妹。でも仲が悪いわけでもない。
ただ特に話すことがないだけだと感じてきたのは私だけかもしれません。
お互い良い歳をして滞在中は少し?言い合うこともあったので兄も私の機嫌をとるべく誘ってくれたのでしょう。
母の容態も落ち着いてようやくホッとしていた私は、気分転換に大きな山の神社へドライブがてら連れて行ってもらうことにしました。
当日は実家へ戻っていた私を迎えに来てもらい、確かその足で母と面会に一度病院へ。そしてお参りの往路に着きます。
向かうは大山阿夫利神社。
実家のある場所は旧大山街道が通る地域なので、昔から身近な存在の神社です。
市内からも大山丹沢連峰を望める場所はたくさんあり、その姿は大変雄大なもの。特に相模線から眺める姿が大好きです。
ですが、大山へ行った記憶がありません。今回が初となるのかは定かではありませんが、初めての気分で楽しみます。
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第二駐車場に車を停めて、15時少し前に大山ケーブル駅に到着。
のんびりなスタートでした。
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下社のある阿夫利神社駅まではケーブルカーに乗りましたが、歩くと40分ほどかかるそうです。
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山の木々とケーブルカーと柵は緑でお揃い。
下社でお参りを済ませた後に立ち寄ったのは、隣接する茶寮「茶寮 石尊」さん。
確か、その時はこちらの存在を知らずに訪れたのですが…
・大山阿夫利神社の眺望はミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで2つ星を獲得しており、その絶景を石尊さんのテラス席や店内から楽しめる
・設計を手がけたのは建築家の堀部安嗣氏、施工は宮大工の内田幸夫氏
という、神社と景色と建築物が好きな私にとって大変魅力的な場所だったのです。
あ…建築物に詳しいわけではないのですが、「渡辺篤史の建物探訪」は学生の頃から大好きな番組だったり、「ふるカフェ系ハルさんの休日」も欠かさず観ています!
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紅い手すり、風にはためく白い暖簾、木造の建物。
どんな内装なのかとわくわくさせる外観。
眼下に広がるのは大好きな湘南の風景。
以前、この建物は下社客殿の応接室で、時々カフェを開いたりされていたこともあるそうですが、神社を身近に感じたり、休みに来てもらう場所にしたいという思いから「石尊」として常設されたそうです。
江戸時代には行楽を兼ねて気軽に参拝できることで「大山詣り」は親しまれていたとのこと。現代にもこうして継承されているのですね。
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店名の「石尊」は神社の御神体が大きな自然石で「石尊大権現」「石尊さま」と呼ばれていたことに由来するそうです。
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テラス席に着いて大好きな江ノ島や三浦半島は眺めながらいただいたのは人気メニューの御神水で淹れたコーヒー。もう一つの人気メニュー、升ティラミスをいただきたいところでしたが、帰りに何やら計画があるとのことで…。
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お店の出入り口に飾られていた「大山こま」。
江戸時代中期から製造が始まり、大山参詣の土産物として人気が出たそうです。
よく回る「大山こま」は、生活や金運が回るということで縁起物とされたのですね。
幼い頃、お土産にもらったような記憶があります。
さて、帰りもまたケーブルカーで。
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カーブルカーを降りたら、「こま参道」を通って駐車場まで歩きます。
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帰りに寄りたいと兄が言っていた「ZUND -BAR」さんは厚木市七沢にあります。
「AFURI」のラーメンの総本店。
石尊さんでは珈琲のみにしたのは、こちらでラーメンをいただく為でした。
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私は 大葉香る梅かけそば。兄はおそらく 本枯節のおかかご飯と…なんのラーメンでしょう。普段外食でラーメン屋さんには行かない私、内心「ラーメン⁈」と思っていたのですが、全粒粉の細麺というだけで体に優しい気がして、実際とっても美味しくいただきました。
「ZUND -BAR」さんを出た後の帰路は、地元のパン工場とパン屋さんをはしご。
パン屋さん好きの私としては大歓迎!ということで、意外にも充実した1日となりました。
いつも遠出をする時は、途中に素敵なお店や景色が良い場所はないかな…と下調べをして行くのですが、こんな風に知らないまま、出かけてみるのも良かったな。
兄の提案も大正解ということで◎
この日から約1ヶ月後… ちょうど10月の今時分だったと思います。
母は無事、退院しました。
入院の日々は想像もしなかったような気持ちを抱えたりもしましたが、「いつか再びあの景色と珈琲を味わいたい。」そう思えるくらいになっていたこの日の写真を、時折眺めています。
もう時期、山々が深く色づく季節。
秋の大山もきっと賑やかなことでしょう。
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