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【二月の勝者】私の中学受験を振り返って

漫画・二月の勝者にどハマりしました。この漫画は中学受験の進学塾講師の観点で描かれた漫画です。

勿論漫画用にデフォルメされている所はありますが、かなり現実に沿った内容も多く、自分の記憶を鮮明に蘇らせてくれました。経済的な側面を真正面から描いているので、親の立場としてグッとくるものもあります笑

自分の人生にとって中学受験は間違いなくターニングポイントであることもあり、この漫画をきっかけに振り返ってみました。もし中学受験を考えておられる方がおられましたら、参考になれば幸いです。
(ちょっと文字数多めです。ご容赦ください・・・!!)

私の受験成績と通塾歴

まず通塾歴ですが、いわゆる「ガチンコ」の進学塾には5年生の2月、つまり受験1年前からSAPIX吉祥寺校(漫画にも登場。名前はフェニックス吉祥寺校笑)に通いましたので、丁度1年ということになります。また、もっとゆるーーい個人塾@三鷹に小学3年生から通っていました。

次に受験成績ですが、こんな感じです。

1月:函館ラ・サール    ○
2月1日:開成        ✖️
2月2日:聖光学園     ✖️
2月3日:海城(二次)    ○
2月4日:聖光学園(二次) ✖️

当時は「あー、第三志望に行くのかー」とか思ってましたが、この漫画を読んで初めて、とんでもない思い上がりだったことに気付きました(後述)。

中学受験をしてよかったこと

①自分の得意なことで「努力」が出来た、そして自己肯定感を作れた
 この漫画の二巻でこんな台詞が出てきます。

“なんで「勉強が出来る」って特技は、「リレー選手になれた」とか「合唱コンクールでピアノを弾いた」とかと同じ感じで褒めてもらえないんだろうね?”

僕は人類全体の上位0.001%に入るくらい運動神経が悪く、目も悪く、人とのコミュニケーションも得意ではありませんでした。身長も前から三番目くらい。
(どの位運動神経が悪いかというと、置いてあるサッカーボールを蹴ろうとして、空振りして転んで左腕を骨折するレベル)

算数と国語は凄く出来た。でも、それが学校で評価されることはありません。背が高くてかっこよくて、足が速く、話が面白い人がモテる(男女両方から)。だから学校で人気者にもなれないし、周りを見て「いいなー」と思う日々でした。

でも、塾に通うことで、自分の得意なこと、ここで言う「特技」に対して「それを頑張っていいんだよ」と言って貰えた気がした。これが一番大きかったです。

未だに「まだ10歳やそこらの子供に無理して勉強させるなんて、親のエゴ」と中学受験を揶揄する人がいますが、私が見る限り、塾にいる子達は本当にみんな楽しそうでした。

11歳、12歳というタイミングで「自分の得意なことに真剣になれた」、これは今の私の大事な基礎になっている気がします。

②セカンドプレイスとしての存在
今、社会人に対してセカンドプレイス・サードプレイスの重要性が言われています。つまり、「職場以外に自分が求められる場所・自分の存在意義を確認出来る場所」を持つことで視野が広くなり、精神的に安定し、仕事のパフォーマンスも上がる、というものです。

僕にとっては塾がセカンドプレイスでした。上でも述べましたが、別に勉強が出来ても学校での居心地は良くなりません。子供なので、心のどこかで「こいつらバカだな〜」と思ってるのが出て嫌われることもあります。

ですが、塾に行けば同じ目標を持った、共通言語で話せる奴らがいる。切磋琢磨するのが当たり前の環境がある。なので、僕は塾に行くことが楽しみで仕方がありませんでした。

この漫画には「学校は不登校だけど、塾には行ける」、そんな子も登場します。確かにSAPIXにもそういう子がいました。

学校が楽しい子はもう、それでOKです。ですが、そうでない子にとって、サッカークラブやバレエ教室、塾、なんだってセカンドプレイスになり得ます。その一つの候補として捉えていただくのもいいかもしれません。

③環境が思考と価値観を作る
SAPIXって恐ろしい場所で、「御三家を受けるのが当たり前」なんです。なので、「海城第一志望」なんて最早落ちこぼれみたいなポジション。

でも、今回この漫画を読んで初めて気付きましたが、海城って偏差値72−75もあるんですよね。おい、落ちこぼれじゃねーぞ笑
(SAPIX内の偏差値では60ちょっとだった)

なぜ気が付かなかったか。本当に嘘でも虚勢でもなく、多くの生徒が一所懸命に御三家を目指す。それが当たり前な環境だったから。振り返って確信するのは、「環境って大事」ということです。

自分がお山の大将である空間にいると、人は怠けます。しかし、右見ても左見ても頑張ってる奴がいると、自然と「頑張るのが当たり前」となる。なので、とても普通に日々頑張ってました。別に苦痛でもなく。

そして運良く入れた海城も皆めちゃくちゃ優秀なので、そういう人たちと一緒に過ごせたことも、私の人生に大きな影響を及ぼしていると思います(中学生前半は280人中270位みたいな成績をずっと取ってましたが。。苦笑)。

人には向き不向きがありますので、どれが合うかは分かりません。ギリギリでレベルの高い学校に入り、「深海魚」になってしまう学生もいます。ですが、子供の時に色んな環境に置いて貰え、適性を測れたことはとても良かったと思います。

特に自制心が乏しい小学生には、「環境」の影響は甚大です。

中学受験をして良く無かったこと

①やたら太った
 余り負の効果は無かったのですが、小5まで水泳をやっていたのをやめて一気に進学塾通いに変わったので、カロリー消費量が大幅に変わり、めっちゃくちゃ太りました笑(写真は中3か高1)。ストレスで、じゃ無いですよ?

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高校終わりまで太り続けていたせいで、謳歌できたはずの中高新大久保ライフがそういうものにならず、涙の6年間になりました🥺

これは中学受験の後にさっさと痩せればよかっただけの話ですが、副作用ではあります笑

②相当な経済的負担を親にかけた
この漫画が一番光を当てている所でもありますが、中学受験は非常にお金が掛かります。これは紛れもない事実。そして、その費用水準を私はこの漫画で知りました。何となくは気付いてましたけどね。実額を知ったのは今回です。

自分でお金を稼ぐようになって、「月○万円」「秋季講習7日間で○万○千円」の重みが痛いほど分かるようになりました(と同時に、それに見合った対価を提供しなければならない進学塾側のプレッシャーにも思いを巡らせてしまいます)。

私は今、自分の親に「中学受験に掛けたお金の費用対効果、高かったよ!」と自信を持って言えますが、一体何年掛かってるんだという笑

親父が「パター買いたいんだけど・・・」と申し訳なさそうに母親に申請していたのは鮮明に覚えてますが、月謝分でパターなんていっぱい買えます。なので、「良く無かった」というか、「申し訳なかったな」と思います。

まあ、親父は今、天国で沢山ゴルフしてるはず。パットは上手くなったかね。

中学受験は辛く無かった

一つ、この漫画に全く共感出来ないことがあります。それは子供達が抱えるとんでもないストレス。受験のプレッシャーやら親からのプレッシャーによって、追い込まれていく子供達が良く登場します。

でも、私の記憶にそんな光景はありません。中学受験が辛いと思ったことも無いし、プレッシャーに感じることもありませんでした。その理由を考えてみたら、以下の二つに行き着きました。

①進学塾に通ったのが1年間だけだった
この漫画に登場する子供達のほぼ全員が4年生から塾に通っています。そうすると確かに「3年間も頑張ってきた結果が出る・・・!!」というプレッシャーがあるのは分かります。親もそうなるでしょう。

一方、私は5年生の終わりに入ったので、他の生徒にとっての「受験前最後の○○!」が、私にとっては「人生初めての〇〇!」になるわけです。

なので、新鮮なままジェットコースターのように1年が終わりました。プレッシャーよりも毎回新しいことに出会えたことが楽しかったのだと思います。

1年間を推奨するものでは無いですが、長くなればなるほど、メンタルケアは必要になると思います。子供は飽きちゃいますしね。ただ、聞く所によると、今は6年生からはもう入れないケースもあるということで。すごい世の中ですね。

②「とにかく楽しい」塾から始めた
小3から通った個人塾が、まあ楽しかった。勉強を心から楽しんで出来た。これが何より大きかったと思います。「勉強は楽しいこと」と思えたからこそ、中学受験全体も楽しめたように思います。

母親がこの塾を選んだのは本当に偶然とセンスによるものなので大感謝です。また、勉強が好きな人たちの共通点は「親が勉強が好き」ということ。

子供が学校や塾から帰ってきて習ったことを家で話したら、そこから話を広げてくれたり。仕事の後も、みんなでずっとテレビを見てるのではなく、本を読んだり勉強したり。周りには結構そういう人が多いですね。

我が家はそういうことはなかったですが苦笑、風呂場で親父とやる暗算勝負が楽しくて算数が得意になったので、そこは感謝ですね。

まとめ/おわりに

ということで、纏めるとこんな感じです。

①僕は中学受験して凄い良かった。最早中学受験に救われたくらいの話。
②良かった点
 ・得意なことに一所懸命になれた
 ・自分の居場所があった
 ・環境のお陰で、強制ではなく「自然」に努力できた
③良く無かった点
 ・太ったせいで青春を謳歌できなかった(自分のせい)
 ・かなりの経済的負担を親にかけた
④僕は中学受験は全く辛くなかった。それは、
 ・進学塾通学期間が1年で、短期決戦だったから
 ・「勉強は楽しいこと」と思わせてくれる人がいたから

長くなりましたが、どなたかの参考になれば嬉しいです。海城同級生で今度集まったら、みんなの受験話とか聞いてみたいな。

細田 薫


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