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1 on 1面談の質を上げる5つの処方箋

皆さんの会社では1 on 1面談を取り入れてますか?

1 on 1面談を導入する会社や社員の方は増えていると感じており、特に外資やスタートアップでは当たり前のように行われているようです。

一方で「何を話したらいいかわからない」「つい自分のことばかり話してしまう(話された)」といった悩みを聞くことも増えるばかり。

ということで、今回は私の「1 on 1面談の定型フォーム」をご紹介します。私も苦しみながら作り上げたもので、今上手くいっています。読者の方の参考になれば幸いです。

①あなたがこの会社で働く理由・目的はなんですか?

Purpose経営

今、「Purpose経営」が世の潮流になっています。

これは一言で言えば、Missionの先にある、そもそもの「会社の存在意義」を言語化し、そこを北極星として忘れることなく経営をしていく、ということと理解しています(もっと色々有りますが)。

これは別に新しい話ではなく、逆に目的や存在意義のない会社の方が少ないでしょう。ここのポイントは「それを言語化せい」ということだと理解しています。

何事も、言語化されて初めて、共有され、意識され、それについて議論されることが出来ます。

そうすると、各社員はPurpose、そしてMissionからの逆算で自身の業務の目標やタスクを設定できるので、社員全員のエネルギーが一点集中し、最終的にその「Purpose」が達成される、これがPurpose経営の肝だと理解しています。

我々セルソースも、来たる12月14日(水)の第七期決算説明会で新たなPurpose/Mission/Value/行動規範を発表します(ご興味のある方はこちらまで)。

上司・部下の面談も同じ

(私は上司/部下という単語は使いませんが、一般呼称として)

私も「上司」と呼ばれるポジションにつき、1 on 1面談をするようになって、かなり悩み、失敗もしました。ですが、自社のPurposeについて議論を重ねる中で、「これって各個人についても同じなのでは」と勘付き、それを取り入れたところ、グッと1 on 1面談が意味のあるものになりました。

つまり、

あなたがこの会社で働く理由・目的はなんですか?

と聞き、それを言語化して貰う所から始めるのです。これを聞くのは気恥ずかしいですし、聞かれた方も戸惑うかもしれません。

ですが、これを言語化してもらえると、全てのコミュニケーションのクオリティが上がります。全ての事柄を「目的軸」で考えられるようになるためです。

「この人はこういう目的で生きてるんだよな」と分かっていると、仕事の差配、渡し方、相談の受け方、、、、何もかもが変わります。

そして何より、本人が「私はこういう目的があって今この瞬間この会社にいるんだ」と自覚して日々を生きること、に強烈な効果があると思っています。

日々、つい目の前の業務や状況に振り回されてしまう中、毎月の1 on 1でそれがリマインドされることは、人生を見失わずに価値ある日々を生きることに直結し、それが出来た人の生産性は爆上がりします。

最早、私は相手の「Purpose」を聞かずにコミュニケーションする術が思いつかないほどに、このやり方がハマっています。もしよければ、是非。

②第X期終了時点でどんな自分になっていたいですか?

Purposeから日々の現実に近づけていきます。まずは「一年後の自分」です。

自分の「Purpose」に向かって、1年間でどんな成長を遂げたいか、これを言語化してもらいます。

これが無い人は進む道が分からないどころか、途中経過で「自分がちゃんと前進しているのかどうか」の判断も出来ません。

さらに、上司としては「その人の成長路線・速度」に対する評価も出来ないので、途中で手助けしてあげることもできません。なので、絶対に必要です。

この「1年後の自分」は出来る限り具体化してもらいます。

当社には社員に期待する13の「スキル&コンピテンシー」を設定しているので、そこを参照しながら、1年間で伸ばしたいスキル/コンピテンシーを考えてもらい、それについて議論します。

これも、いきなりこの話から始めると「うーん」となりますが、先に「Purpose」が明確になっているとスムーズに議論が進むのが面白いところです。

③目的・成長の達成の妨げになっているものは何ですか?

ここからはKPT法と呼ばれる手法を取り入れます。KPTはそれぞれ以下です。

Keep=成果が出ていて継続すること
Problem=解決すべき課題
Try=問題点・改善点への挑戦

僕は必ずProblemから始めるようにしています。上司が最もやるべきことは障壁の排除ですので。

①・②で設定した「Purpose」と「1年後のゴール」の実現に向けて、上手く行っていないこと、悩んでいることを聞き出し、そして解決に向けて議論します。

これも、①・②を経た上で聞いているので「なぜそれがProblemなのか」がすっと理解でき、最初から課題解決に向けた議論が出来ます。そのプロセスをすっ飛ばしてProblemを聞いたら、その解釈にまず大きな時間を使ってしまうでしょう。

どれだけ会話が盛り上がっても、必ず③までは辿り着くようにします。

④より良くしたい、今上手くいっていることは何ですか?

Keep、ですね。

ここでは、例えば「今チームの雰囲気はとてもよく、十分に援け合えている。これをさらに良くするには、XXXをしてはどうか」、といった90点を100点に近づけるような対話を行います。

どんなことにも100点はありませんので、もし③で大きなProblemが無ければ、Keepを加速させるようなアクションについて議論していきます。

⑤次回1 on 1までに行うチャレンジの合意

最後はTry。Challengeと表現することもあるようです(その場合はKPTC)。

ここでは、ここまでの会話を踏まえた上で、次回の1 on 1面談までに行うチャレンジ・アクションを合意していきます。③・④の延長線上であることもあれば、それとは別に、新たなアクションの話が出てくることもあります。

ここは5W1H要素が極めてクリアになっていないと、次回1 on 1でレビュー出来ないので、それがとても大事です。

確認:「ストーリー」になっているか?

この①〜⑤がきちっとやれていれば、

・自分はこういう理由・目的で今この会社にいて
・その達成のためには来年自分がこうなっている必要があり、
・そのための障害はこう取り除き、
・上手くいっていることはこうレベルアップさせ、
・次回までにはこんな挑戦をする

と一息で語れるはずです。

これが言語化されていれば、日々のマイクロマネジメントなどする必要もされる必要もないですし、根源的な信頼関係が醸成されると信じています。

補足:自分も開示する

「こんなこと聞きづらいよ!」という方もおられるかもしれません。その場合、まずは自分の①〜⑤を作り、メンバーに開示してみてください

相手を知る前に、自分を知らせるのです。そうすると、少なからず「なるほど、細田さんはこういうことを考えてるんだ」と相手に伝わり、必ずコミュニケーションがちょっとでも改善します。

その上で、「こないだ俺が開示した奴だけど、こちらからも聞いてもいい?」というやりとりがしやすくなる筈です。

人を育てる「土・光・水」

今年お世話になった「人事の寺子屋」で、この考え方を教わりました。

人が育つには以下の三要素が必要である。
土:良い組織文化
光:関心、愛情
水:支援、アドバイス

正にそうだと思いました。そして、1 on 1は「光を当てる場」です。相手の人生に向き合い、相手を知りたいという関心を持つ。関心という光を当てられて、本当に嫌な人はいないと思っています。

多くの上手くいっていない上司ー部下の関係は、互いに光を当てあっていない状況に陥っています。そういう時、先んじて光を当てるのは上司しかいません。

決してTo Do管理、Task管理の場にせず、存分に光を当てる場にしてください。

おまけ:向かい合わない方がいい

1 on 1をやる時のアドバイスとして、「席で向かい合わない方がいい」というのがあります。

向かい合うと、言葉も目線も常にぶつかり合うので、負荷もかかりますし、上手くいっていない関係の時は悪化すらします。

私が一番良いと思うのは、90度。四角形のテーブルに斜めに座り合う形ですね。それがファシリティ的に難しければ、横並び。カウンターに並んでるイメージ。

ちょっと気恥ずかしいかもしれませんが、意外と話しやすいですよ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。ではまた来週。

細田 薫

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