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都会と雨は、悲しみに暮れた時のコーヒーのよう。

おとといは久しぶりの雨。

いつもリュックにしまっている傘をさして、恵比寿LIQUIDROOMへと向かう。山手線は3分の遅れでさえも、「誠に申し訳御座いません。」というアナウンスと共にやってくる。

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たまに東京に出てくると、こんなにもたくさんの人が暮らしているのかと思う。何をしている人たちかは、もちろん分からない。

SNSでは「これからは個人の時代だ」とよくみるけれど、歩く人たちは何者か分からないし、手に持つ傘はほとんど無個性だ。僕も例外ではなく、特徴や愛着を特に持っているわけでもない黒い傘を開いて歩く。

雨は憂鬱だ。せっかくのお出かけも、雨ひとつで台無しになってしまう。自転車でスーパーに行くことも、億劫にしてしまう。

雨は憂鬱だ。

でも、都会に出ると雨はいつもと違う表情を見せてくれる。

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雨のおかげでいつもなら無機質な光は華やかで、歩くことが強要される街中でも足を止めてしまう。

いつもは嫌いな都会の街並み、いつもは憂鬱をもたらす雨模様。それらの掛け合わせは、闇が濡れるほどにとても綺麗だ。

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1人暮らしをしていると、前触れもなく悲しみや寂しさが訪れる。都会には自分の代わりがたくさんいると思えてしまう。

自分を自分たらしめるものを数えてみる。自信を持つにはあまりに少なくて、何者か分からなくなる。

そんなときにも1杯のコーヒーはふっと落ち着きをもたらしてくれる。香ばしい苦味にほんのり甘い風味が広がっていく。

そんな心に栄養を蓄えてくれる時間は、あまり多くないけれど、世界を新たに色づけてくれる。

都会の光を広げてくれた雨は、そんな瞬間に似ているのかもしれないと、そんなことを思ったのでした。

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