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一声惚れと一目惚れ (上) (140文字小説)

 心が痛む季節が、また来た。

 街が桃色に染まるたび、桜が脳裏に浮かぶ。

 もう、いない桜。

 桜は言った。

 しあわせになって、と。

 舞う花びらを一枚にぎり、桜、と呟く。

「はい」

 はす向かいの桜の下にいた女性が振り向く。

 その声に心臓が掴まれた。

 彼女の声に一声惚れをしてしまった。

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