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読書感想文

読書感想文。
これほどイヤなものはなかった。
そう思う人もさぞや多かろうと思う。

仕事帰り、本屋に寄った。
「読書感想文」コーナーがあり、小学生から高校生までの課題図書が並んでいた。
試しに手に取ってみると、本自体は、これなら読んでもいいのでは、と思う本もあった。
普段手に取らない本だけに、新鮮味を覚えた。

ただし、感想文を書くとなると、話は変わる。
確か、小学5・6年生の頃だったか。
結局、字数を稼ぐために文章を長々と引っこ抜き、「大変だと思いました」だとか「自分もそう思いました」など、とってつけたような何の感想にもなっていない一言二言を付け加える、その繰り返しをもって読書感想文と称していた、そんな苦行だったことを覚えている。

読書自体は、たぶん人よりもしていたし、好きだった。
だが、感想文を書くことで考えを深められる、というのが目的とはいえ、なぜわざわざ読後の感想をそれっぽく行儀よく書かなければならないのか、理解できなかった。

好きな本、興味のある本、面白そうな本を自由に読めば、それでいいではないか、と今でもそう思いつつ、だから自分で作る仕事の資料の文字が少ないのかと、ある種の仕方なさを悟った。
パワポに、でーんと写真を貼って、1行だけ言葉を並べる。
そのやり方は、まるで、文章を長々と引っこ抜き一言二言付け加える、あの小学生の書き方そっくりだ。
まぁ、それはそれでいいかと、勝手に納得した。



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