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『君と明日の約束を』 連載小説 第六十五話 檜垣涼
檜垣涼(ひがきりょう)と申します。
小説家を目指して小説を書いている京都の大学生。
よろしくお願いします💠
毎日一話分ずつ、長編恋愛小説の連載を投稿しています。
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二人とも布団に入ったのを確認すると慎一がリモコンを操作して、明かりを消した。遮光性の高いカーテンのおかげで部屋の中は真っ暗になる。
「慎一、起きてる?」
「ああ」
自分から話しかけたのに、言葉に詰まり、僕はタオルケットを肩まで掛け直した。
「……なんか悩んでるんだろ?」
僕が黙っていると、悩みがあるとは言ってないのに慎一が訊いてくる。
慎一は僕が家に泊まることになった時点で何か相談したいことがあることは分かっているのだろう。確認するようにもう一度訊く。
「じゃないの? 急に泊まるって」
前回泊まった時も、僕が中学二年の時に同級生に告白された時に慎一に相談するためだった。
「日織のこと?」
「うん」
「なんかあった? 俺が塾の帰りに寄った時もミツいなかったし、日織に聞いても何も教えてくれないし」
尋ねると、慎一は電気を常夜灯に変えて起き上がり、ベッドの縁に腰掛ける。
日織は話していなかったのだ。
僕も座り直し、慎一にあの日あったことを言うと、
「無理したんじゃないだろ」
「え?」
予想外の返答に、思わず訊き返す。
「日織は無理してるなんて思ってないってこと」
「なんでそんなことわかるんだよ」
「夜までやってたのかもしれないけど……んー、なんていうのかな。ミツいつも晩御飯作ってるだろ?」
「うん」
「別に無理してるわけじゃないだろ?」
再び頷く。
「それと同じだとあもう。何か他のことを我慢はしてるかもしれないけど、自分でそうする理由があって、すべきことを分かってるからやってるだけ」
慎一は熱量のこもった口調でそう言う。
慎一の言っていることは正しいのかもしれないけど、病院の先生も無理をした、と言っていた。
「でも、自分のせいで……」
――彼女が張り切ってしまって。
言おうとすると、声が被さる。
「うぬぼれだよ、それ」
ーー第六十六話につづく
【2019】恋愛小説
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