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市内のトイレを気軽に使えないロンドン、腹痛に襲われたらどうする?

※本記事は潰瘍性大腸炎の具体的な病状に関する記載を含みます。恐縮ながら、どうぞ飲食を終えてからお読みください。食欲をなくしても、食事が美味しくなくなっても責任は取りません。

昨日、私がロンドン市内で潰瘍性大腸炎を発症した記事を書きました。

私の闘病生活において「不幸中の幸い」と言えたのは、授業のオンライン移行に伴って「日本国内で治療を継続できた」ことでしょう。日本人の医師と日本語でコミュニケーションを取りながら、体調を相談したり治療方針を策定したりできたのは非常に心強いものでした。

何より、日本は公共交通機関やコンビニエンスストアといった街の至るところにトイレが設置されています。しかも、往々にしてお客さんでなくても無料で利用することができます。さらに、多くのトイレには温水洗浄便座が備え付けてあったり、きちんとトイレットペーパーが補充されていたり、掃除されていたりと、日本のトイレ事情は本当に素晴らしいものです。

「トイレを無料で使えない」ロンドンの事情

しかし、ロンドンだとそうはいきません。

まず、空港や大きな駅を除いて鉄道施設にトイレは設置されていません。

そこで、街中でトイレを利用するとなったら店舗や商業施設を頼らなければなりませんが、往々にしてトイレは無料で開放されていません。基本的に、トイレは小売店で品物を買ったり、飲食店を利用したりしているお客さんのためのものです。つまり、トイレを利用したかったらそのお店にお金を払って、店員さんに鍵を開けてもらったり、トイレのロックを解除する暗証番号を教えてもらったりしなければならないのです。

しかも、そのトイレが綺麗とは限りません。せっかくお金を払ったとしても、前の利用者が汚く使っていたり、トイレットペーパーが切れていたりすることも多々あります。そして、温水洗浄便座は基本的に備え付けられていません。
(私がロンドン市内で温水洗浄便座を目撃したのは、在英国日本大使館と、その裏手にある日本食レストランのトイレのみでした。)

トイレ利用を「お願い」できる「Crohn's & Colitis UK」会員証

そうは言っても、英国にも潰瘍性大腸炎やクローン病といった「炎症性腸疾患」の患者さんは少なくありません。むしろ、これらの病気は日本よりも欧米に患者さんが多くいるとされています。特に、都市部に多いようです。

そこで、潰瘍性大腸炎およびクローン病患者の団体である「Crohn's & Colitis UK」が先述のトイレを解錠できる鍵と、それからこの鍵に対応してないトイレの利用に理解を認めるときに使える会員証を発行しています。

どうやら、このカードを持っていると、持っていないときに比べれば市中のトイレも利用しやすくなるようです。

それでも使えないトイレ

しかし、現実はそう甘くありませんでした。これは私の体験談ではありませんが、2017年には潰瘍性大腸炎の患者さんが「Crohn's & Colitis UK」のカードを見せてもトイレの利用を拒否されてしまう事件が起きています。

したがって、英国のトイレ事情は必ずしも炎症性腸疾患の患者に優しいとは限りません。

実際の対策としては、出掛ける前後に自宅のトイレを利用しておくことと、小まめにトイレに立ち寄ることくらいしかありません。それでも強烈な便意に襲われたら、各種店舗や商業施設に駆け込んでお金を払って、トイレを利用するのみです。

ロンドンに戻ったら、いったい私はどうすれば良いのでしょうか……。

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