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転職回数、何回までOK?~採用企業、転職エージェント、自身の転職経験の3つの視点から考える~

転職活動をしていて、よく出てくる話題の一つに、転職回数のことが挙げられます。
もっと言うと、

 「転職回数は多いと不利?」
 「何回までなら転職はOK?」
 「転職回数が多い人は、どうやっていけばいいのか?」

という、「回数が多くなると、転職で不利になる」という不安から挙がってきます。

確かに、だいたいの傾向でいくと、多い人より少ない人の方が、転職先の選択肢が広くなると思います。回数が多くなれば、それだけ面接での準備も手が掛かる傾向があります。

これについては、私自身の、転職エージェント + 再就職支援として転職支援経験と、自分自身の転職経験(現在45歳で、5回経験)。
また、現職では自社の採用面接をする立場でもあるので、それらの経験から、結論としては

 「回数より内容 × 採用側の事情」

と思っています。
ここでは、この具体的な内容と、どうしてそう考えるに至ったかを、
①転職支援経験 ②自分自身の転職経験 ③自社の採用業務 の3つの視点から考えていきたいと思います。

出来るだけ偏った考えにならないよう、上記3つの視点でお話ししますが、とはいえ、私が見聞きしてきた世界も、業界内ではごく一部と言えますし、私が知らない世界はまだまだ多くあると思います。
違う視点も多くあると思います。

違う視点がございましたら、コメントやメッセージ等をいただきながら、考えをブラッシュアップしていければと思います。


① 転職支援経験から

1-1 採用企業側の立場より

採用企業側は、採用の成否が自社事業に直結するという意識、一度採用すると、違った!と思っても簡単に辞めさせられない、もし採用を間違えると、採用担当が配属部門や役員に詰められる…などなど、様々な考えから、転職回数が多くなれば、その分懸念を持つ傾向はあります。

具体的な懸念としては…

 1 早期退職の懸念
 2 スキルが高まっていない
 3 社内でそういう人がいない

1は、何度か転職をしていれば、その分、転職に対する心理的ハードルは下がっていくので(転職に失敗したことで、もうしたくない!と、ハードルが上がることは考えられます)、回数を重ねれば、採用側としては「また辞めるのでは?」と意識し、 可能性を懸念します。

2は、石の上にも三年、というように、一定のスキルは3年やってある程度身に付く、という考え方。

1年目:その会社での仕事を通年で経験し、仕事の一連の流れを理解する
2年目:1年目の経験を踏まえて、自身の仕事の改善をする。
3年目:一定の成果が出てくる。
    1,2年目ですでに成果を上げている人なら、それが偶発的ではなく再現性がある仕事として評価される

という見立てだ。

3は、特に大手有名企業など、就活でも人気企業となるような会社にみられる傾向と見ているが…
新卒採用で毎年、優秀な学生を採用できていて、恵まれた環境のもと、多くが簡単に辞めずに長く続けている。

中途採用を行う時にも、人気企業だから、他社ほど苦労せず応募者は集まり、企業側が選べる立場にある。その分、例えば「当社で3社目(つまり転職2回目まで)でない方はNG」という採用要件を設けることもできる。

その結果、社内には、そもそも何回も転職してきた人がいないし、何回も転職をした人をわざわざ採用しなくても、企業的には困らない状態なので、転職回数にはシビアになる、ということになります。

このことは、人気企業の採用担当の方が、ここまで明言をしたのを聞いたわけではありませんが、実際の採用傾向や採用担当の反応などから見て、この傾向は間違いなくあると思います。

1-2 転職支援側の立場より

支援側(転職エージェント側)の立場としては、ビジネスとして支援業務を行っているのと、やはり求職者には思い入れがあります。

そのため、採用企業側以上に「入社して欲しい!」という心理があり、採用企業よりは肯定的に捉える傾向があります。
ただ、エージェントの中には採用企業寄りの人もいて、採用企業以上にシビアに見える人もいたりします。

私自身は、転職エージェントとして9年間、再就職支援の支援員(主に大手企業を早期退職した方の就職支援)として3年間、転職支援者をしてきましたが、企業側に「推薦」をする立場として見ていたポイントは、次の3つでした。

 1 どんな理由で辞める事が多いのか?
 2 どんな企業だと受け入れが可能なのか?
 3 こらえ性があるか?

1は、人はそれぞれに「辞めたい」と考える時の傾向があり、私は「辞め癖」と呼んでいます。
例えば、自己主張が強く、人とぶつかったことで辞める傾向のある方、やりたい事が出来なくなった時に転職を考える方、会社の将来性に不安を感じた時に辞めることを考える方、等々。
人によっては、決まって会社が倒産、経営不振などで退職を繰り返している(そういう会社を選んでしまっている)という方もいらっしゃいました。

ちなみに私は、特に30代前半までは、評価されてないと感じる時に転職を考えることが多く、しかも入社3年目でその波がやってきました。
そのため、1~3社目の会社はだいたい3年程度で辞めています。
4社目で、自分の「辞め癖」に気が付いて、そこは断ち切る事が出来ました。

話を戻すと、「辞め癖」を見抜くことで、どの案件であればその癖が出ないのか、また出てしまうのか、で考えています。

2は、1の続きとなりますが、その「辞め癖」が出なさそうな会社であれば、受け入れてもらえる可能性が高くなりますし、企業側にもその点を踏まえて提案をします。
辞め癖がまた出そうな会社であれば、私の場合はその案件を求職者の方に紹介は控えます。実際に推薦をしたとしても、私の経験上では入社まで至ったケースは記憶がありません。

3は、先ほど触れたように、石の上にも三年、と言いますし、嫌なことがあってもある程度辛抱してやることによって、新たな気付き、新しい可能性が見えてくるものだと思っています。

そのため、いくら人それぞれ「辞め癖」があるとはいえ、私の場合は、3年未満で何度も転職を繰り返している場合は、転職ではなく自分自身が一定の辛抱をし、自分と違う考えを受け入れていくことの方を先にしていく方が良い、と考えています。

②自分自身の転職経験

私が経験した5回の転職のうち、2回目と4回目は、人の紹介からの転職ですんなりとできました。
転職エージェント利用や、自己応募などを交えてしたのが、1,3,5回目の時で、それぞれ難易度を感じたので、この3回のことを振り返ります。

2-1 1回目:25歳

外食産業からとにかく出たくてはじめた転職。
職種としては、営業職やコンサルティング的なもの、研修関係の職種を片っ端から受けていました。

未経験職種でしたので、それなりに書類選考で落とされましたが、一応、公立の大学卒で、初めての転職でしたので、その点のウケも良かったのか、結構面接に行けました。面接に進むハードル感は低かったと思います。

ただ、外食から逃げたいがための動機で始まり、面接でもそれを言葉選ばず面接官に話していく、その会社への志望動機など話せず、その会社の仕事理解もまともにしていない。

そんな私が良い会社の面接に合格するはずもなく、人が辞めまくっているので有名な会社2社の新規営業職(契約社員採用)で内定を得たことはありましたが、行きたい会社の内定獲得は1社だけ。外食の仕事を続けながら、100社以上応募し、転職活動は1年間やっていました。

2-2 3回目:30歳

派遣で販売職をしていて、転職エージェント会社(人材紹介会社)への転職を目指していました。職種的にはこの時も未経験。

人材業界専門のエージェントから紹介されたのは、未経験でも応募できる会社2社のみで、自己応募で面接に行けたのも1社だけでした。
30歳といっても、正確には31歳になる年での転職活動。

業界専門のエージェントを使っても、30歳未経験だと案件数は随分少ないな…と思ったのが率直な印象でした。

ちなみに、面接3社のうち内定が出たのは1社だけ。
勿論もの凄く嬉しくて、その会社でお世話になりましたが、内定獲得数という点ではなかなか厳しい戦いでした。

2-3 5回目:43歳

前職を戦力外になっての退職。
基本はエージェント会社や、類似する人材系業界の会社を応募していきましたが、今後、そうそう転職することなどないと思っていたので、人事職(採用職)もダメ元で受けていました。

自己応募やエージェント利用、知人紹介などもあり、40社ほど応募。面接に進んだのは7社。
6社は同業界の会社で、人事職は知人紹介で1社だけ面接を受けることができましたが、それ以外は全て書類NG。
さすがに当時の歳で未経験、且つ5回目転職だと難しいと感じました(笑)

応募した40社のうち、同業界は20社なので、同業界での書類選考通過率は35%。エージェント業界内でも、書類選考通過率30%はひとつの基準ですので、想定外に面接に行かせて頂けた、という印象です。

とはいえ、さすがに厳しいなという印象で、余裕はありませんでした。
個人的には、独立志向を持つほどの野望はありませんので、これ以上(6回目~)の転職は避けたいと思っています(笑)

③自社の採用業務

現職では、自社の採用業務や、採用マーケティングもさせていただいています。
採用する会社の立場、という観点で私が考える転職回数のポイントは、

 1 こらえ性があるか
 2 もし辞めるとなった時に、どんな理由で辞めると考えられるか

と考えています。

3-1 振り返りができているかどうか

1については、1-2でもお話したのと同じです。

特に今の会社は小所帯の会社で、代表の方針で、色々なことにチャレンジをさせてくれる有難い社風ですが、一人で色々なことをしていったり、変化に柔軟に対応することが求めれられます。
そのため、さすがに短期間で離職を重ねていると、当社ではアジャストが難しいかな、と考えます。

2は、これも1-2でお話した「辞め癖」で、その辞め癖が、当社の今の状況で起こりそうなのか否か、で考えます。

あとは、退職した理由を、正直にお話されているかも重視しています。
変に隠そう、良いように話そうという人は、辞めたことに対して十分向き合えていないのでは?と感じます。
またそういう方は、どこかで他責にする傾向もある、と推測します。

逆に、正直にお話をされると、少なくともご自身なりに辞めたことに対して振り返りができている可能性が高いと感じます。
そういう方は、反省ができているので、同じような理由で退職をする可能性はゼロではないものの、「辞め癖」をのぞかせた時にうまく対処できるのでは、と、私は肯定的に捉えています。


④ まとめ

転職回数に関して、私は

「回数より内容 × 採用側の事情」

と考えていると冒頭にお話いたしました。

人と企業、それぞれに傾向が有るので、単純な回数ではなく、求職者と求人企業がマッチするかどうか、だという考えを持っています。

求職者側の立場として大切なのは、これまでしてきた転職、退職理由をきちんと振り返り、自分のどういう在り方、考え方でそうなったのか、という自己理解を深めること。

その上、採用企業側がどのような人を求めているのか、どんな考えなのか、という、相手を理解することが大切なのだと考えております。

最後までお読みいただきまして有難うございます。

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