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目の前にある現実はその人が見たかった未来そのものである - 1990年生まれの天才が書いた"奇書の書"より -

感動しかない。

この素晴らしい本をKindle Unlimitedで実質ほぼ0円で読むことができるということを。この世に新しい巨大で深い森林を創造してくれたジェフに感謝する。例え彼がその恩恵と引き換えに僕らにとってのエコーチャンバーという罠を用意したとしても。例え彼がリバタリアンの先鋭として国家に税金を納めず、ベーシックインカムという名前の国家の税金を利用し、国民たちをさらに森林に引き込もうとしようと。感謝しかない。


そして、そんなことを言いたくて筆をとったのではない。
今回、それにも増して平伏して感謝すべき対象はこの作者だからだ。

性別は分からないこの作者、なんと1990年生まれである。

このnoteを読んでいる方は今僕がなぜこんなに驚愕しているのか感覚が無いと思われるが、とにかくこの本を読んでみて欲しい。読めば、1990年生まれ、すなわち僕よりも25歳も後に生まれてきた人間が、この本を書いて世に出せるということそのものに驚くはずだ。

ではこの本の凄さはどこにあるのか?


内容についてはAmazonの書籍紹介とレビューを見てもらえば分かると思うが、ここで伝えたいのは、この作者が紀元前から20世紀に至るまでのいわゆる"奇書"について、その奇書を取り巻く作者を含めた周囲の環境について歴史・民族・文化的にそして地政学的に丁寧な分析を行なっているだけでなく、翻弄される人類に対する作者自身の思考、考え、想いを愛情たっぷりに描写しているからだ。

普通の人間(あえて"普通"と使う)にとって、理性と感情はどちらかに偏りがちであるし、学問分野もどこかに力点が置かれがちにも関わらず、"学際的"と言ってしまえばそれまでだが、この作者は人類に対する"愛"の目線がその真ん中を突き通しているが故に、全てのバランスが気持ちよく、奇跡的に存在できている。

作者が歴史という動的な倉庫から引っ張り出してくる"奇書"たちは、人類、人間というものが如何に愚かしい存在であるのかについて雄弁に語る。そして、その歴史というものすら、個人の視点でどうとても解釈ができるということが分かる。


・魔女狩り"の説明書

・行ったこともない台湾について台湾人として語る南フランス人

・人の手によるものか全く分からないこの世に存在しない体系的な言語

・死ぬまで綴られた世界最長の物語

・神話の隙間を埋めることが目的の創作された伝承

・嘘で塗り固められた科学論文


人は見たいものしか見ない。読みたいものしか読まない。

人は見たくないものを見た時には何かに責任を転嫁する。人は見たい事実を創造し、そしてそれが度を越せば捏造する。それを繰り返してきたことを"奇書"は語る。それこそが人間なのだ、と作者は言う。

これだけの深みをこの1990年生まれはどうやって手に入れたのか、ということに強い好奇心を持った。理性と感情を学際的な時空の中で行き来できる才能は、単に遺伝子的な能力では説明できず、経験的な蓄積が必要となると思うからだ。

そして、経験を飛び越えてその能力を発現しているのだとすれば、人はその人をサイコパスと呼ぶ。サイコパス、素晴らしい。彼、彼女たちこそが人を人たらしめる最後の鍵を持っているのだ。

この本が"奇書"である可能性について想いを巡らせつつ。

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