見出し画像

【書籍】誰もが悩む、職場の面倒な人への対応法ーTHE21 井上智介さん

 The21 2024年8月号の中で、井上智介さんの「職場によくいる「面倒なあの人」のトリセツ」(p59)は大変参考になりました。職場には、誰しもが一度は「この人、面倒だな…」と感じてしまう人がいるものです。そのタイプは実に様々であり、やっかいでもあります。ポイントを取り上げ、考察したいと思います。

この人、面倒だな…と思う人の例と対処法

 以下のような「面倒な人」との付き合いは、時に大きなストレスとなります。しかし、職場では避けて通れないのも事実です。それぞれのタイプに合わせた対処法を考えています。

人の悪口ばかり言う人

 常に不満を抱えており、他人を貶めることで自分の優位性を保とうとします。陰口を叩くことで仲間意識を強めようとする人もいます。

 同調せず、聞き流すことが大切です。相槌を打ったり、意見を求められたりしても、「そういう考え方もあるんですね」と受け流す程度に留めましょう。自

自慢話やマウンティングばかりしてくる人

 承認欲求が強く、自分の優位性をアピールすることで安心感を得ようとします。過去の栄光や人脈を語りたがる人もいます。

 反応しないことが一番です。興味のない話題を持ち出されたら、「そうですか、すごいですね」と適当に相槌を打ち、話を終わらせるようにしましょう。

ハラスメントが激しい人

 困ったものですが、中には悪意がない場合も多く、単に相手の気持ちを想像できない自己中心的な人が、無自覚にハラスメントをしてしまうことがあります。

 毅然とした態度で接し、必要であれば上司や人事部に相談することも検討しましょう。具体的な証拠を残しておくことも重要です。例えば、セクハラ発言をされた場合は、日時や場所、発言内容などを記録しておきましょう。

無茶振りをしてくる人

 相手の状況を考慮せず、自分の都合だけで仕事を押し付けてきます。納期直前に仕事を依頼したり、明らかにキャパシティを超えたタスクを振ってくることもあります。

 はっきりと断る勇気を持ちましょう。「今は手が離せません」「他の仕事を抱えています」など、理由を明確に伝え、代替案を提案することも有効です。責任転嫁をしてくる人には、

責任転嫁をしてくる人

 ミスを認めず、常に誰かのせいにしようとします。失敗を部下になすりつけたり、都合が悪くなると逃げるように責任回避する人もいます。

 メールやチャットなどで証拠を残すことを心がけましょう。口頭での指示は曖昧になりがちなので、必ず文書で確認するようにしましょう。


 これらの対処法に加えて、面倒な人との距離感を適切に保つことも重要です。物理的に距離を取るだけでなく、精神的な距離を置くことも意識しましょう。必要以上に相手に深入りせず、適度な距離感を保つことで、ストレスを軽減することができます。

 職場の人間関係は、仕事のパフォーマンスやモチベーションに大きく影響します。面倒な人との付き合い方に悩んでいる方は、ぜひこれらの対処法を試してみることでしょう。

 また、問題のある人との付き合い方だけでなく、自身の振る舞い方についても言及しており、誰しもが誰かにとって「面倒な人」になり得るという視点を持つことの重要性を説いています。自分自身も意識する必要があるでしょう。

「面倒な人」の対策は人事としても頭が痛い


 井上氏は、職場で遭遇する可能性のある「面倒な人」への対処法を解説していました。人事としても、「面倒な人」の対策は頭が痛いですが、職場環境の改善や従業員のメンタルヘルスを守るための示唆ともなっています。以下、いくつか取り上げてみたいと思います。

ハラスメント対策

 記事では、ハラスメントが「悪意のない」加害者によって引き起こされる場合が多いと指摘しています。このことは、ハラスメント防止研修において、悪意の有無に関わらず、相手の尊厳を傷つける行為がハラスメントとなり得ることを強調する必要があることを示唆しています。また、ハラスメントを受けた従業員が安心して相談できる窓口を設け、適切な対応を取る体制を整えることの重要性も強調されています。

コミュニケーション研修等に取り入れる

 記事では、「面倒な人」とのコミュニケーションにおける具体的な対処法が紹介されています。これらの対処法は、従業員向けのコミュニケーション研修等に取り入れることで、より良い人間関係の構築に役立つ可能性があります。例えば、「悪口を言う人」への対処法として、「共感しつつ悪口には乗らない」というテクニックは、他の従業員とのコミュニケーションにも応用できるスキルです。

メンタルヘルスへの対策

 「面倒な人」との関わりは、従業員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性があります。人事としても、従業員の精神状態を定期的に把握し、必要に応じて専門家によるカウンセリングやストレスマネジメント研修などを提供する必要があります。
 また、この記事で紹介されている「物理的・精神的な距離を取る」といった対処法も、従業員が自身のメンタルヘルスを守る上で役立つ知識となります。

人事評価制度にも取り込めないか

 記事に登場する「無茶振りをする人」や「責任転嫁をする人」は、自身の評価を高めるために他人を利用する傾向があります。このような行為を防ぐためには、従業員のパフォーマンスを多角的に評価する仕組みを導入し、公正な評価を行うことが重要です。行動評価への取り込みも有効です。

多様性と包容性の推進

 記事では、「誰もが誰かにとって『面倒な人』になり得る」と述べられています。この視点は、職場における多様性と包容性を推進する上で重要です。従業員一人ひとりの個性を尊重し、互いに理解し合う文化を醸成することで、「面倒な人」というレッテルを貼ることなく、誰もが安心して働ける職場環境を作ることが可能となります。

 頭が痛い問題ではありますが、企業にとっても重要な示唆を与えているものではないでしょうか。

職場での「面倒な人」たちとその対処法の一場面です。それぞれの対処法を実践することで、職場環境を改善し、ストレスを軽減することができます。このイメージは、難しい同僚に対処しながらも和やかで穏やかな職場の雰囲気を表現しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?