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伊集院先生が「宝くじ」に興味がない理由は、ケチだからだけではないのだ

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当せん金付証票法・・宝くじを売る目的

 「宝くじ」という名前は、
江戸時代に寺社が、寄進を募るために、
寄付の額に応じて「お金が当たる」という
特典付きの「富札」というものを「発行」した事が始まりです。

まぁ、「お年玉付き年賀はがき」みたいなものですが、
たくさん買えば、「お金をもらえる札」をゲットできたわけです。
ですから、当たったお金は、言ってみれば
「客寄せのポイント」みたいなものでした。

あくまでも主目的は、寺社への「寄付あつめ」だったわけです。
で、江戸時代には「富くじ」と呼ばれ、
「賭博」とはちがう「神仏からのお礼」を
民衆たちが期待していた。そんな感じでした。
「宝くじ」はこれに由来しています。

 「宝くじ」は、このように俗称で、
正式には「当せん金付証票」といいます。
1948(昭和23)年、「当せん金付証票法」という法律で、
この発行を定めています。

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で、その第1条で、なんのために「宝くじを売る」のかを定めています。

第一条 この法律は、経済の現状に即応して、当分の間、当せん金付証票の 発売により、浮動購買力を吸収し、もつて地方財政資金の調達に資することを目的とする。

 この文面から言うと、要するに地方財政に対して「出資」すれば、
おまけとして、その一部を「懸賞金」として還元するよ。
という内容です。
「宝くじ」って、一瞬、宝引きとか、トトカルチョっぽい、
ギャンブル的なイメージがあるんですが、
全く別モノであると言う事です。

 宝くじはギャンブルではなく、「懸賞がついた寄付行為」である。
という事です。つまり、寄付額を多くするために、
「集めたお金の一部」をギャンブル仕立てにし、
人々の射幸心を煽って「寄付を募る」という、
あたしから言わせればかなり「あざとい」寄付行為である。
となんとなく思っちゃうからなのです。

で、さらにはこうです

第二条 この法律において「当せん金付証票」とは、その売得金の中から、くじびきにより購買者に当せん金品を支払い、又は交付する証票をいう。
2 この法律において「加算型当せん金付証票」とは、当せん金付証票のうち、購入に当たつて、くじ引の対象となる数字の中から一定数の数字を選択し、当該選択した数字とくじ引により選択された数字との合致の割合に応じて当せん金品を支払い、又は交付するものであつて、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める額の合計額を次回の同種の当せん金付証票を発売する場合においてその当せん金品の金額又は価格の総額に加算金として算入するものをいう。

難しい言い方ですが、宝くじは、基本寄付金であるけれど、
その一部は、いくつかの数字の組み合わせによって、
購入した金額から支給しますよ。という内容です。

 ぶっちゃけた話、たとえば、寄付を増やすため
総額の売り上げのうち、その一部を
「数あわせの宝引きギャンブル」に使って良いよ。
って言う事です。

 では、その仕組みを具体的に見ていく事にします。

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総務省のHPから引っ張ってきたので、
「カッコいい注釈」がついていますけれど、
まぁ、これは「論点のすり替え」です。
美辞麗句は、絶対に疑ったほうがいい。
まぁ、これはあたしの人生哲学ですが


 ここで、一般庶民が「夢を買う」割合の金額である当せん金として、
期待できるのは購入費用のうち
半分以下の46.5%しかありません。

これには理由があって、いくら騒いでも、
以下の条文がある限り、これはギリギリです。


第五条 当せん金付証票の当せん金品の金額又は価格の総額は、その発売総額の五割に相当する額(加算型当せん金付証票にあつては、その額に加算金(第二条第二項の加算金をいう。以下同じ。)の額を加えた額)をこえてはならない。

このように、「宝くじ」自体の掛け金は、
払った金額の半分以上になってはいけないと
法律で決まっているからなんです。

このとき10枚セットで宝くじを買った人は、
3000円を投資した(掛け金)を出したわけです。
でも、この段階で、1,395円で「勝負」するしかないわけですね。

とすると、10枚通しで買ったら必ず300円はもどると言ったって、
1395円の300円がもどっただけだという事です。
ですから、2000円はとっくにすいあげられて、
1000円残ったしょぼい博打をみんなが打っているわけです。

つまり10枚あったはずなのに、
たった3枚で「大ばくち」しているわけです。

では46.5%の博打がどの程度の割合なのかを考えてみましょう。

 例えば、1枚300円で必ず当たる宝くじを作ったとすると、
当せん金は約139円です。
これでは誰も買わない。
では、1種類の当たりとはずれしかないと仮定して、
2分の1の確率で当たる宝くじを作った場合、
当せん金は約278円です。
これも、当たったとしても損してしまいますので売れない。
数字を変えるとこんなモノなのです。

さて、そもそもその「当せん金」は、
額面(300円)の50万倍を超えてはいけない事になっています。

2 一当せん金付証票の当せん金品の最高の金額又は価格は、証票金額の五十万倍に相当する額を超えてはならない

という事は、どんなに頑張っても宝くじの1等賞は
「1億5千万円」だという事になります。
でいうと、1等の当選者は、
「当せん金」の約半分をかっさらっていきます。
ですから、2等以下は、この半額を奪い合うわけですから、
どんどん確率は上がるけれど、
「パイ」はものすごく小さくなるわけです。
ですが、あたる確率は、あまり変化はない。
けど、もらえる金額はどんどんしょぼくなるわけです。

 それでは実際の当せん確率はどのくらいなのでしょうか。
サマージャンボ宝くじで検証してみましょう。
500万円以上の高額当せん本数は
1ユニット(1000万枚)当たり5本なので、
当せん確率は1000万分の5です。

 10枚買った場合を考えると確率は10倍になりますので
20万分の1になります。
例えば、阪神甲子園球場の収容人数が5万人弱なので、
満員の甲子園球場4個分の観客のうち1人が当たる確率です。
10枚買った場合に元手以上が回収できる3000円以上の
当せん確率でも約11.12%しかありません。

すなわち、元を取れる割合ですら1割程度だ。
というわけです。「博打」としては
こんなうまみのない博打はあり得ない。という結論になります。

じゃあ「社会貢献」なんだからいいじゃないの。
という意見に対しては、
「寄付」なら、マジ全額やっちゃうし、
ふるさと納税の方がよほど費用対効果がある。
ましてや「所得控除」の対象になるから、節税もできますしね。

「当せん金」にすら、二重取りみたいに「課税」される事を考えたら、
あたしゃ絶対宝くじなんか買わないですね。

*注)あくまでも個人の感想ですので、あしからず。

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