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SDGsから考察する「マグロ」の研究レポートその3

「〆処理」が大事な理由

さて本題に入ると、まず「〆処理」。
釣り上げたマグロの急所に銛をしっかり打ち込み、
あるいは電気ショックを与えて即殺することで、
死後硬直を短時間で消滅させます。
そして、この事により、
鮮度の保持と旨さの熟成時間の延長をすることができます。

 次に「神経抜き」これは即殺のだめ押しで、
電気ショックと金属パイプを使ってマグロの延髄を抜き、
テグスなどで脊髄を破壊します。
この段階でマグロは完全に死に、
無駄に動いて体温上昇がおこることがなくなります。

ではどのようにして処理するのか

 そして「血抜き」。
動脈を切断、マグロの血抜きをすることで、
鮮度の保持と解体したあとの生臭さをの発生と、身肉の褪色を防ぎます。

 最後の「冷やし込み」です。
実は、クロマグロの「血合い」と呼ばれる筋の中心の部分は、
31,4度もの体温があると言われています。
しかも、マグロが死んだ直後に
急激にこの部分が温度上昇すると言われています。

マグロは常に動き続ける魚です。
時速150キロで動き回るほどですから、
肉に残ったエネルギーのエントロピーが
熱となって放出する
ことになるのですね。
このメカニズムもよく判ります。

ですが、このままではマグロは「やけ」てしまいますから、
氷水で急速に冷やし、それを維持して体温上昇を抑え、
身肉の褪色を防ぐわけです。
物理で言えば、運動エネルギーのエントロピーが
「旨み」に化けると言うことですか。

マグロの味は「技術力」

ここまで書いて、本当に溜息が出ました。
クロマグロ(本マグロ)の旨さというのは、
本当にいろいろな技術や自然条件に支えられていると言うことです。
 
 というところで、ますます書いてみたくなりました。
そろそろ話題に飽きたでしょうが、
もう少しお付き合いください(^▽^) b
 まだまだおもしろいことがわかりました。

 さて、それでは、マグロの「旨さ」をどう追求するかを、
考えてみます。
マグロの美味さを決めるのは、いくつかの要素があります。
また、人の好き好きもあるでしょうから、
それぞれ、どんな美味さがあるのかを、
いろいろな「縁」で考えてみましょう。

マグロの「旨さ」とは

クロマグロ(本マグロ)の美味さの要素は、
旨み、香り、色、食感につきますが、
赤身の鮮紅色が鮮度と旨さの証明ととられる事が多いようです。
ですから、血抜きと冷やし込みが
しっかり行われているかどうかも評価の対象になります。
 
 マグロの場合は、他の白身魚とは違い、
死後硬直を解消させるのではなく、死後硬直を一旦させ、
それを短くすることによって
その後の鮮度の保持と発色および熟成の時間を長くすることが目的です。

的確な処理がなされた200キロ級のクロマグロは、
氷の中で2週間以上鮮度を保ち、しかも旨みを増すといわれます。

 マグロの楽しみ方は、色や新鮮さの食感それだけではなく、
このように熟成期間が長期化することにより、
一方では褪色が進み、鮮やかな血の旨みは失せていきます。

ですが、「熟成の旨み」を十分楽しめ、
他の魚にはない旨さのとらえどころの楽しみの深さと
選択の余地がクロマグロには、可能性としてあるという事です。

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