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地方の個人店のあり方と移住との関係

東京や都市部では、個人店は数ある店の中の一つにすぎない。そこでしか食べられないもの、手に入らないものはあれど、代わりはある。
でも地方の田舎街においては、本当にそこしかない。そこへ行くためにだけに車を走らせることもしばしば。

私は鹿児島県出水市に東京から移住し、パンとお菓子を売る小さな店を始めた。この街に決めたのは妻の地元という他ならないが、私が行きたいと思う店が少なかったからも一つの理由。
車を走らせて他の街へいけば、美味しいパンやお菓子は売っているし、喫茶店や雑貨店、本屋など素敵な店もある。東京のようにたくさんはなくても、その分意思を持ってやっている店が多いと思う。ただ、やはり暮らす街にそういう店が欲しい。

地方での暮らし、特に移住というと、暮らしには困りませんよとか、自然がたくさんありますよとか、暮らしと直結する情報か、豊かな自然を打ち出しているところが多い気がする。
少なくとも私が妻の地元ではなく、全く関わりのない土地に移住するとしたら、確かに生活できるのかは知りたいし、自然もあって欲しい。
でも、それだけでは決め手に欠ける。

そういうときの決め手になるのは、その街の「店」なのではないかと私は思う。大きなスーパーやチェーン店が多く住みやすいと言っている街なのか、小さいけれど個々の店が地域を支えている街なのか。

私は後者の街がいい。

リモートワークで移住のハードルが下がった昨今。コロナが収束したら、恐らく移住ハードルはもっと下がるのではと感じている。それは従来の、一世一代の決断とか、もう都会には戻らないとか、ずっとそこで根を張るとかではなくて、ある程度の期間住んだら次の場所へ移っていくような、都会の中での引っ越しのような、もっと気軽な移住。ADDressというサービスもあるし、行き来がしやすい世の中なれば、そのような移住は加速すると考えている。
自然があって、素晴らしい景色のある土地はたくさんある。最初こそ魅力的な自然に憧れて移住する人も多いとは思うが、大半の人は適度な利便性が必要と考えるのではないかと思う。
どこも似たような店が並ぶ街よりも、あの店やあの店がある、と言われるような街に、私は住んでみたい。

私がここで店を始めたのは、その「あの店」と言われるような店がここには少ないから。

こんなにも世の中が変わるとは思っていなかった頃、「暮らす街を誇れるか」という記事を書いた。
ざっくり言うと、好きな店が一つでもあれば、その街がきっと好きになる。安いとか便利だからとかではなくて、その店の考えや想いに共感し、そこで買いたいと思う店がある街が素敵だと思う。私たちが始める店も、そんな店になりたい。というような内容。

その考えは、店を始めた今でも変わらない。
実際に自分たちが移住を経験し、そういう店の価値をより感じるようになった。

この街にはあの店がある。

これから移住する人や暮らそうとしている人が、こんな店があるなら住んでもいいなと思える存在。住んでいる人も、ここに住んで良かったと思える存在。そういう店が増えていけば、ここに暮らしたい、移住してみたいと思う人も増えていくのだと思う。
人の出入りが増えていくだろうこれからの時代。地方で一個人店を営むものとして、日々足を止めずに「あの店」を目標としていたい。

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