見出し画像

暮らす街を誇れるか

今暮らしている街、以前暮らしていた街、育った街。
これまで暮らした街はいくつかありますが、自信を持って人におすすめできるか、この街は良いのだと誇れるかというと、、そう言えない街もあります。

でもそれは私が街を知らないだけだったのだと思います。
街の雰囲気だったり、交通の便とか色々ありますが、私が街を誇れるかどうかの基準の一つが、大好きな店があるかです。
今暮らしている街は好きです。おすすめしたい。

丁寧につくられた料理をつまみながら話がすすむ居酒屋、ゆっくり本を読みながら珈琲の飲める喫茶店、種類は多くないけれどしっかり素材の味を感じるパン屋、たまにしか買えないけどふと寄りたくなるインド雑貨の店。
他にも色々な店がありますが、行くたびにまた来ようと思える店があることが私の好きな街であり、誇りたい街です。

今年の秋、私は鹿児島でパン屋をはじめます。
パン屋をはじめる街は過疎地域に指定されていて、これからどんどん人が減っていくと予想されている街。
新幹線も停まるし大きな街ではあるのですが、少し車を走らせれば商店街はシャッターが目立ち、場所によっては空き家だらけ。

これだけ見るとここでパン屋を開いてやっていけるのか心配されるような街ですが、私はこの街が好きです。
でもまだ暮らしていないので、人に遊びにきてと言えるか、おすすめできるか、誇れるかというとまだなんともいえません。

だから私は誇れるようになりたい。
そして暮らす人が他の人におすすめできるほど誇れるような街にしたい。

パン屋はそれを実現させるための一つの手段です。
地域の方と触れ、街のことを知り、パンや暮らしで想いを伝えつつ、来てくれたお客さんからも色々教えてもらう。
そうやってたくさん知っていくことで好きなところが増え、きっと誇れるようになる。
だから私はこの街でパン屋をやりたい。

これを読んで、もし自分が暮らす街があまり誇れるところがない、もう少し自信を持って言えるようなりたいと思うなら、何か自分が好きなものを、街にある個人店で買って欲しいです。
大企業が大量生産しているようなものではなくて、作っている人が見えるもの。ちゃんと人を感じるものを選んで欲しい。食でも服でもサービスでも。

私も個人店で働くまでは、どこで買うか、誰から買うかは意識していませんでした。評判の良い店、安い店を選ぶし、ネットが安いならネットで買うこともありました。

でも個人店で働くようになって、そして自分がやる立場になって、”誰が” を意識するようになりました。
その人、その店の考えや想い、背景などを知り、それを応援したくて、買って通って好きになる。逆にそれが感じられなければ美味しくても再訪はない。知らない店であっても応援している店の人の知り合いや、行っている店であれば行ってみたい。それはその人を信頼しているから。

そうやって一つの店から好きな店が増え、信頼できる人が増えていくと、暮らしている場所が好きになり、誇れるようになるはずです。
その積み重ねが地域の経済を回すことにもなり、過疎地域だって少しは変わるかもしれない。

私たちがはじめるパン屋もその一つになりたい。つくるパン、扱うもの、暮らし、働き方を知ってもらい、店を好きになってもらい、この街の人たちに誇られるようなパン屋になりたい。
だから自分も、店に来てくれた人はもちろん、地域の店を訪れ、通い、好きになって、誇れるところをたくさん見つけて、街で過ごすことを楽しみたい。
そしてそれを発信したり、友人、知人に自信を持って遊びにきてといえるようになって、街を地域を盛り上げる一員になりたい。
それが私がパン屋を通してやりたいことです。

この記事が参加している募集

この街がすき

読んでいただきありがとうございます。