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労使交渉満額回答の条件とは?

労使交渉満額回答の条件とは?

『主要製造業の9割弱が満額回答する23年労使交渉の火付け役』となったのは、トヨタ自動車次期社長・佐藤恒治氏。
佐藤氏は、現社長・豊田昭男氏に
労使組合の要求に対する満額回答について
『恐怖にも近いです』
と答えたそうです。

佐藤氏は、賃上げしたいのはやまやまだったものの、『固定費増加や今後の交渉への影響を考えると腹を決めかねていた』そうです。

これに対し、豊田氏は
『正しいと思う価値観に従って決断して動きことが大事だ』
と、佐藤氏の背中を後押しされました。

このように、トヨタ自動車のような世界的大企業でさえ、躊躇するような賃上げ。

岸田首相は、昨年7月の経団連会合で『賃上げは次の成長への投資であり、企業の社会的責任だ』
とある意味、企業に対し挑戦を促しました。
また、『3%以上の賃上げを実現してもらいたい』とも、具体的な数値に訴え出ました。
政府・日銀のインフレ率目標が2%ですから、1%でもいいから上回れ、ということなのでしょう。

しかし、よく考えてみると、企業が投資をする時というのは、現在成長が見込まれる状態であることがマストです。
不景気であったり、経済の回復が見込まれない状態の時に、誰が好んで投資をするでしょうか。

日本は長きにわたり賃金停滞への懸念が燻り続けていました。
それはいうまでもなくデフレの長い長いトンネルを抜けられずにいたからですが、デフレを脱却するには、日銀の異次元の金融緩和、だけでは無理でした。
そこには政府の、企業が投資をするに値する環境を整える政策がワンセットになっていたはずでした。

しかし、第2次安倍政権時において、1度足らず2度も消費税が増税され、国民の賃金は上がるどころか目減りし、消費は落ち込みました。

企業の収益もままならず、物価は上げられず、賃金も20年間上げたくても上げられない状況が進んでいました。

『企業の収益がどれほど働き手に分配されたかを示す労働分配率は22年末に57.5%と10年前から8ポイント低下した』そうです。
逆に企業の内部留保は259兆円と6割増えているのです。

なぜか?
企業側が経済成長が見込めず、投資ができないと判断しているためです。
政府は、積極財政志向で経済成長を実現するための財政出動をすることがやるべきことであり、賃上げ要求だけでは、企業側が満額回答しようにもできない状況は続きます。

大手企業は大半が労使交渉の要求に満額回答するようです。
しかし、日本の大部分を占める中小企業は?

『持続的な賃上げには成長が欠かせない』
それはその通りです。
『成長を実現できる企業とそうでない企業の落差が表れて来るのはこれから』

労使交渉の行末が注目されています。

『  』内、参考・引用
3/20 日本経済新聞
【大幅賃上げ「恐怖に近い」】より
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