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日銀が国債を買うと・・・。

『日銀が短期と10年の金利を操作する「イールドカーブ・コントロール(YCC)」の副作用が債券市場に広がっている。日銀の購入で10年物国債が市場に枯渇し、・・・』
と冒頭から日銀の国債購入による影響を懸念しているような書き出しで始まっている記事ですが、そもそもなぜ日銀は国債を買うのでしょうか。

日銀が国債を買うことによって金融市場に資金が供給されます。
長期国債については、価格が上昇すると利回りは低下します。
国債買入オペの金額を増額し市場の需給環境がタイト化すれば、通常、国債の価格は上昇し、長期金利は低下すると考えられます。
日本銀行のホームページによると、長期国債の買入については金融政策目的で行うものであり、財政ファイナンスではないと記載されていますが、財政ファイナンスとは何でしょうか。

財政ファイナンスとは、財政赤字を賄うために、政府の発行した国債などを、中央銀行が通貨を増発して国債を直接引き受けることです。
「マネタイゼーション(国債の貨幣化)」ともいいます。

日銀・黒田総裁は記者会見で、2021年時点で日銀が国債の発行残高の4割を保有していることについて
「2%の物価上昇目標という歯止めがかかっており、財政ファイナンスではない」としています。

では、日銀が国債を買い入れることで起こる弊害は何だと記事では言っているのでしょうか。
それは市場内の国債が枯渇することにより、投資家の国債の決済リスクが高まることです。
決済リスクとは、取引コストの高まりです。
取引コストは、簡単に言うと、売値と買値の差です。
この取引コストが大きいと、投資家は想定より高値で買い、安値で売らざるを得ないことになります。

また、日銀が国債を購入すればするほど市場の流動性は失われるといいます。
市場の国債残高が減ると、長期的に日本国債にマネーが入りにくくなります。
事実、代表的な国債指数でもあるFTSE世界国債インデックス(WGBI)から日本の10年債が除外され始めました。
これが長期的になると、日本国債に流入する投資マネーは減少します。

国内の長期の社債も起債されにくくなってきています。
市場機能の低下が長引けば金融緩和のメリットを上回るコストになりかねません。
日銀のかじ取りに固唾をのんで見守っている市場が垣間見れます。

『  』内、参考・引用
1/29 日本経済新聞
【干上がる国債 副作用拡大】より
#経済 #為替 #株式市場 #日経平均 #米株価 #金融 #投資 #世界経済 #物価 #国債

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