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PBRとPERを理解し、上手く使いこなそう

PBRとPERを理解し、上手く使いこなそう

最近、経済ニュースなどで報道されている中で「PBR」や「割安」という株式投資に関連するワードが耳に入ります。
皆さんは聞いたことがあるでしょうか。

例えば、東京証券取引所がPBR1倍割れの上場企業に対し、株価水準を引き上げる対策を取り、それを開示するようにとの要請を出しました。

さらには、数日前に来日した、投資の神様と言われるウォーレン・バフェット氏が、割安な日本株の投資はこれからもやっていくという旨の発言をしました。

そこで今回は、ちょっとしたお勉強を一緒にしてみたいと思います。
株式投資をされる方にとってはお馴染みの、代表的な指標でもあるPBRとPERについて、解説してみます。

まず1つ言えるのは、PBRもPERも株価が割安か割高かを見る指標であるという共通点があります。

では、2つの違いはどこになるのでしょうか。
1つずつ見ていきたいと思います。

PBR Price Book-value Ratio 「株価純資産倍率」

まずPBRですが、Price Book-value Ratioの略で、日本語に置き換えると「株価純資産倍率」です。

PBRは直訳すると帳簿上の価値を表すものであり、株価と純資産を比較した倍率で見るという物差しとなります。

貸借対照表、いわゆるバランスシートを思い描くと、左側に「資産」、そして右側には「負債」と「純資産」が置かれています。

「資産」とは、工場やビル、もちろん現金、知的財産もここに含まれます。

また「負債」は端的にいうと借入、借金です。

ここで、重要なのは、純資産です。
仮に、今この時点で会社を畳んで全て売却し、借金も全て返済したとします。
その時に残ったものが純資産です。
これがいわゆる「解散価値」です。
式で表すと、「資産ー負債=純資産=解散価値」となります。

本来であれば、この残った純資産が平等に株主に分けられる財産のはずなのに、その解散価値となる純資産が株価を下回る状態、これが「PBR 1倍割れ」という状態なのです。

こうなると「もうこの会社の事業は辞めた方がいいのでは?」というメッセージにも取られてしまっているということが言えます。
投資家としては、その会社に対しては、「事業続けても純資産は減るばかりではないか?」と期待されていない、異常な状態です。

では実際、どんな企業がPBR1倍割れしているのかというと、例えばトヨタ自動車。
同社のPBRは0.87倍です。
さらにはソフトバンクグループは、0.63倍です。

日本の主要上場企業500社の4割、全体で見ても5割の企業がPBR 1倍割れしているのに対し、米国は10%台、欧州は20%台と、日本が突出しています。
これは欧米の企業に稼ぐ力がある、効率よく稼げていると高評価になっているのです。
逆に、日本の企業はうまく稼げていないということになります。

ところで、株価というものは、現時点で企業の将来をどう見ているか、という1つの結果だということが言えます。
よって、企業が、今ある資産を使って持続的に利益を増やし続けることができるという期待が投資家の間に高まれば、株は買われ、株価は高くなっていきます。

PBRが低いということは、その商品に5割引、6割引の値札が付いていても、誰もなかなか買ってくれないということになります。

では、どうすれば投資家は会社の株を買ってくれるのでしょうか。
大きくいうと2つあります。
まずは、PBRの「P」を大きくすること。そして、もう1つは「B」を小さくすることです。

「P」とは、「Price」つまり株価です。
企業自身が稼げるようになり、新事業や設備投資といった新しい挑戦をしてビジネスを拡大させていくことが、株価を上げていくことに繋がっていきます。

そして、もう1つ、「B」を小さくするとは、純資産を小さくするということです。
もし純資産を持て余しているのであれば、それを株主に還元したり、自社株買い、配当を増やすなどで筋肉質な経営にしていくことで評価を上げるという方法があります。

今回の東証の要請によって、このPBRが改善されていくのか、というところが注目されている点です。

PER  Price Earnings Ratio 「株価収益率」

そしてもう1つの指標がPERです。
PERとはPrice Earnings Ratioの略で、日本語では株価収益率です。

こちらは、収益がどれぐらい稼いでいるかということに対して、株価が何倍になっているか 
を見る指標で、利益を元にこちらも割安か割高を見ます。

前述のPBRは、1倍を割ると割安という判断をされるのに対して、PERは割安の水準となる数値があるわけではなく、比較する企業との間で割安かどうかを判断していきます。

高PER企業は、以下のような企業が名を連ねています。
オリエンタルランド 110.7倍
第一三共 89.7倍
資生堂 73.4倍
などなど。

実は、このPERの倍率に株価が付いてくるとは限らず、株価はその時々の経済の状況によって変わっていきます。
どういうことかというと、PERが高いからといって、期待過剰?割高ではないかと見られることもあるわけです。

世界と比較してみますと、日本企業の平均PERは13.7倍に対して、米国S&P 500の上場企業平均PERは18.2倍となっています。
米国の方が、大手ハイテク成長株入っているということからも今後の成長期待が高いとされています。

企業個別では、例えばトヨタ自動車のPERが9.9倍に対して、テスラは42.5倍と圧倒的です。

ただ、PERが高くても成長が期待されると必ずしも割高とは言えず、反対に低くても成長性が乏しいと判断すれば割安とは言えないというのが、PERです。
だからPERの数値をそのまま鵜呑みにせず、他企業と比較したり、他の指標をいくつか複合的に見ることで、その企業が成長するかどうかの判断をする必要があるのです。

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