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モバイル通信の標準化プロジェクト3GPP 5G標準化動向をマクロにみる-その4- 提案された技術文書数で見るファーウエイの存在感

「その1」から「その3」では、3GPPの動向を提案された技術文書数から定量的に観察することを試みてきた
-その1- 各技術研究グループ(TSG)の活動状況
-その2-4Gと5Gでの各国のアクティビティの変化
-その3-日本国籍プレーヤの存在感や特徴

 それでは、最近の貿易戦争で話題になっているファーウエイは3GPPでどの程度の存在感があるか気になると思うので、企業単位の技術文書の提案件数を調べてみた。「その2」で示したように、このところの貿易戦争でクローズアップされている中国企業の3GPPにおける存在感は急速に強まっている。

まず、技術検討グループ(TSG)RANとSAへの2017年の技術文書(Technical Document)の提案件数を、筆頭提案者ベースでカウントした場合についてまとめたグラフを次に示す。

 グラフのように、ファーウエイが約1万2千件で1位である。エリクソンの1万1千件弱と共に2強と言ってよい。
それに続くのが3位のノキアの6千件強と4位のクゥアルコムの約5千件となっている。インテルが約3,700件で6位につけているが、先ごろ5G半導体からの撤退を表明しており、今後もこの位置を維持するのかが注目される。
 日本企業は9位のドコモ、17位のNEC、18位のアンリツの3者が20位以内に顔を出している。
 1位のファーウエイ以外の中国企業は、8位のZTE、10位のCATT、13位のチャイナ・モバイル、14位のOPPO、19位のCMCC、20位のVivoと7者と企業数でみても他の国籍よりも多い。
 この中でも1位のファーウエイ、2位のエリクソンの件数はダントツであり、10位から20位までの総数がやっと3位のノキアの提案件数程度だということからも、ファーウエイ、エリクソンの貢献度が群を抜いていることが分る。
 一方、技術文書数の数え方を共同提案者として企業名が載っている文書数でみた場合について次に示す(筆頭提案者も含む)。

これを見ると、ファーウエイと関連企業のハイシリコンの連合が1位で約6万件と他を引き離しており、2位はエリクソンで3万5千件弱となっている。

 3GPPは数で物事が決まる訳ではないし、技術文書数と技術力がそのまま比例している訳でないことは言うまでもないが、現実の製品の質や品ぞろえを見ても、今や5Gの世界ではファーウエイが相当程度に強力な存在であることは否定できそうもない。また、これらの提案の中にはこれから脚光を浴びるであろうV2X関連の提案も当然含まれているものと思われ、今後の貿易戦争の行方から目が離せない。

 余談だが、3GPPの技術文書はすべてWeb上に公開されているので、誰でもアクセスすることが出来る。ただし、それらはすべて会合単位のフォルダに分かれているので、特定の文書を閲覧しようとすると、まずその技術文書がどの会合に含まれているかを知る必要がある。また、これらの技術文書はweb上ではZIP形式で圧縮されているので、1会合分の文書を一括して見やすい形で入手しようとすると「ZIPファイルのダウンロード(技術文書数だけ繰り返し)→ZIP解凍(技術文書数だけ繰り返し)→ファイル名の調整」が必要となる。作業グループごとに流儀の違いもあり、1年で10万件あまりの技術文書が提出されることを考慮すると、これはなかなか手間と知識の必要な作業である。
 私たちのグループではこのような「ファイルのダウンロードから文書番号単位のファイル名に整理してデータベースのような形への整理まで」を効率的に行うノウハウを有している。本ページ末の欄外にある「クリエータへのお問い合わせ」によりご連絡いただければ、上の課題についてのご協力について相談できる。

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大手通信機メーカーで通信システムのアーキテクチャ、インターフェース、装置、LSIまで幅広い開発経験を有する。大規模なシステム開発には技術的な側面だけでなく、組織論、心理学、社会学、経済学等、多面的なアプローチが必要である。広義の「システム開発論」に関する話題について発信したい。
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