中根秀樹

大手通信機メーカで通信システムのアーキテクチャ、インタフェース、ソフト、LSIなどの開発経験からシステム開発に必要なアプローチに関心を持つ。関連する組織論、心理学、社会学、経済学等を包括する「システム開発」周辺のキーポイントになる話題についての発信を目指す。

中根秀樹

大手通信機メーカで通信システムのアーキテクチャ、インタフェース、ソフト、LSIなどの開発経験からシステム開発に必要なアプローチに関心を持つ。関連する組織論、心理学、社会学、経済学等を包括する「システム開発」周辺のキーポイントになる話題についての発信を目指す。

マガジン

  • 3GPPでの5G標準化のマクロな動向(2008vs2017)

    次世代(第5世代)モバイル通信の標準規格"5G"の3GPPにおける標準化活動のマクロな動向を観察する (1) 各技術研究グループ別の動向 (2) 第4世代(LTE)の標準化(2008年)と5Gの標準化(2017年)の比較 (3) 提案企業の国籍別の提案文書の数から見た日本国籍プレーヤの特徴 (4) 存在感を増している中国、特にファーウェイの動向

最近の記事

さすがのAppleにも自動運転車の実現は難しかったようだ

もう何年も前から、自動車の自動運転は世間一般で考えられているほど容易に実現できるものでは無いと申し上げて来た。しかしながら、実際にそれを実現しようとしている人たちは今のコンピュータの能力なら可能だと考え、たゆまない開発の努力を続けている。もう何年も前から、あと数年でレベル4は実現可能になると言われて来たが、いまだにレベル4の自動運転の実現に目途がついた企業はないようだ。むしろ、このところのニュースは、ようやく自動運転の難しさに関する共通認識が成立し始めたようだと感じるものが多

    • オリンピックは五輪、パラリンピックはパラ?

       オリンピックはそのシンボルマークから、日本では「五輪」と呼ばれる。ならば、パラリンピックは、シンボルマークのスリーアギトスの意味から考えると「三動」と呼ぶのが適切ではなかろうか。  新聞等のニュースで、オリンピックは短縮形で ”東京五輪”と呼ばれている。これに対してパラリンピックは ”東京パラ” と呼ばれることが多いようだ。しかし、”東京五輪” に対置するコトバとして ”東京パラ” を用いるのは、コトバとしての対象性を欠く表現の様な気がして、どうも気になる。  ”東京パラ”

      • 「こんなに難しいとは思わなかったけど」・・自動運転

        やっと、イーロン・マスクも『完全自動運転』の難しさが分りかけてきたというところだろうか。 「ハハ、自動運転ソフトウェアのβ版はもうすぐだと保証する。 どこでも可能な自動運転は現実世界のAIの大きな課題の解を見つけなくてはいけないから、難しい問題だね。こんなに難しいとは思っていなかったけど、もともと難しいのは自明だった。現実世界よりも自由度が高いものはないんだから。」 だが、私に言わせれば、イーロン・マスクはまだ甘い。 まだまだ本当に難しいのはこれからだと私は思う。 インタ

        • パターン 001

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        • 3GPPでの5G標準化のマクロな動向(2008vs2017)
          4本

        記事

          変異したピンクムーン

          一昨日の月はピンクムーンだという。 写真を撮っていたら、そう言えばコロナウィルスも丸いなぁと。 月が変異したらどうなるんだろう。 パソコンの画面で想像をたくましくしてみたが、 こんな月が夜空に見えたらさぞかし不気味だろうなと思う。

          変異したピンクムーン

          ベンチ #001

          いろいろなところにいろいろな形をしたベンチがある。 ベンチは人が腰かけるためにあるのだが、人が腰かけているのを見たことがないベンチもある。それでも、ベンチはベンチである。 腰かけている人にも、いろいろな人がいる。他にやることが無くてここで時間をつぶしている人、駅のプラットホームで列車の時間を待つ人、通りがかりにたまたまベンチがあったので、疲れを癒している人。 誰も腰かけていないベンチからも、これまでにそこに腰かけた人、これから先に腰かけるであろう人の物語を感じられる。そこの

          ジェフ・ベゾスの目指す資料の形式とは

          何かをプレゼンテーションする時に使用するツールとして、今やマイクロソフトのパワーポイントはデファクト・スタンダードになっている。しかし、私は以前から、この方法は手軽で見映え良くプレゼンできるが、「相手に理解させる手段」として、あるいは「建設的な議論の材料」として、という意味ではいつも万能とは限らないと感じていた。 だから、「アマゾンではパワポ禁止」という記事を読みながら、思わず膝を打つ思いがした。 パワポの資料はプレゼンターのトークを一緒に聴くのを前提にしているものが多く

          ジェフ・ベゾスの目指す資料の形式とは

          雲・風・光 #006

          言い訳である。夕焼けや朝焼けの空は赤い。だから青空とは言えない(当たり前だ)。そのため、タイトルから青空をはずした。 朝焼けと夕焼けは物理現象としては同じ理由で空が赤く色づく。 しかし、心理的には朝焼けはこれから始まる1日を予感させ、 夕焼けは今日一日の終わりを感じさせ、きたるべき夕闇への心の準備を促す。体内時計の状態の違いも関係しているのだろう。 個人的には、今日一日に期待しつつも、見ているうちに「ああ、明るくなってしまった」と少しガッカリする朝焼けよりも、徐々に余韻を

          雲・風・光 #006

          青空・雲・風・光 #005

          青空は見えない 雲の洞窟の向こうに光が見える 闇の中に光の形がほのかに見える

          青空・雲・風・光 #005

          海景のある景色

          何年か前、千葉市美術館で開催された杉本博司展を観に行った時、驚いたのは作品展全体が「写真撮影可」だという点だった。欧米の美術館ではよくあることだが、日本の美術館の展覧会では極めて珍しい。 杉本さんご自身が米国の博物館のジオラマを撮影した写真が出発点だったことによるのかも知れない。 開館してすぐの誰もいない部屋に展示された「海景」とその作品が床に映っている風景は、それ自体がもう一つの「海景」ではないかと思えた。

          海景のある景色

          青空・雲・風・光 #004

          この道は続く 果てしなく続く どこまでも どこまでも あの空の向こうには 何が待っているだろう 僕たちは歩き続ける。命ある限り

          青空・雲・風・光 #004

          完全自動運転車のソフトウェアの開発と、要件定義に必要な環境について

          トヨタが静岡県裾野市に「ウーブン・シティ(Woven City)」と呼ばれる実験都市をつくるという。コネクテッドの町をつくるということだ。 しかし、私にはむしろ「完全自動運転車」を制御するためのソフトウェアを開発するために必要な要件定義において、「要件」となる要素を収集するためにトヨタは自前の町をつくらざるを得なくなったのではないかと思える。 以前の投稿でも述べたように、想定外を想定する必要のある要件を作ることは極めて困難だから。 その点、「完全自動運転」の開発において、

          完全自動運転車のソフトウェアの開発と、要件定義に必要な環境について

          青空・雲・風・光 #003

          そもそも「風景」とは何だろう? 典型的な風景写真は空があり、風景があり、雲があり、 それらを光が照らし出すことによって成り立っているもの のように思える。 星景写真、静物写真なども広い意味での風景写真だろう しかし、基本は空と大地、そしてその境界は風景写真の重要な構成要素だ

          青空・雲・風・光 #003

          青空・雲・風・光 #002

          青空に雲がプカリ、プカリと、浮かんで 風にゆっくりと流されていく。 それを、芝生の上に寝転んでのんびりと眺めている。 そういう、ボーっとした時間の流れに幸せを感じる。 春にやりたいことって、 そういう事の様な気がしているのだが、 簡単に出来そうでいて、なかなか出来ない事でもある。

          青空・雲・風・光 #002

          歌会始

          皇后陛下の御製 感染の収まりゆくをひた願ひ    出でたつ園に梅の実あをし このうたは、 万葉集の大伴家持による以下の歌を念頭に置いて詠まれているように感じた 春の園くれないにほふ桃の花    下照る道に出で立つをとめ 家持の歌を思いながら鑑賞すると、現状とそうありたいと願う姿を対比しているように感じられて、皇后さまの歌にこめられた願いがより深く感じられるのではないだろうか。

          青空・雲・風・光 #001

          青空に浮かぶ雲。 日本晴れで、雲一つない青空ももちろん良い天気。 しかし、それはどこか殺風景でもある。 風景の中に雲が果たす役割は大きい。 同じ場所も、時間とともに光と雲の関係は変化し、風景が一変することはよくある。 白い雲にも光の当たる裏側には程度の差こそあれ暗い影の面があり、地上にも影を落とす。ここでもうつろう影は風景を変えていく。 雲は風に流され、時と共に形を変える。風の姿は雲の形を通してしか見えないが、風も風景に大きな影響を与える。 変幻自在に風景を変えていく青空・

          青空・雲・風・光 #001