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さすがのAppleにも自動運転車の実現は難しかったようだ

もう何年も前から、自動車の自動運転は世間一般で考えられているほど容易に実現できるものでは無いと申し上げて来た。しかしながら、実際にそれを実現しようとしている人たちは今のコンピュータの能力なら可能だと考え、たゆまない開発の努力を続けている。もう何年も前から、あと数年でレベル4は実現可能になると言われて来たが、いまだにレベル4の自動運転の実現に目途がついた企業はないようだ。むしろ、このところのニュースは、ようやく自動運転の難しさに関する共通認識が成立し始めたようだと感じるものが多い。

イーロン・マスクはそれを2年前にようやく理解し始めたようだし、Appleもようやく事の本質が分ってきたようだ。

スペースXのロケットはぶつからないことを前提に飛んでいくようなものだし、iPhoneもG4やG5の規格さえ守っていればあとは自分のやりたい機能を実現するだけだ。どちらもインタラクティブに境界条件が決まるミッションクリティカルシステムではないから設計可能だし、デバッグ可能だ。一方でレベル4の自動運転車の設計のための仕様を決めることは無限の可能性に対応することを要求される。4年前に申し上げたように、本質的にミッションクリティカルなシステムの開発はみなが考えるほど容易なものでは無いのだということが皆の共通認識になるにはまだしばらく時間がかかりそうだ。

テスラの技術者もAppleの技術者も閉じた環境でデバッグできないシステムの開発の難しさにようやく思いが至ったという段階ではないだろうか。

コンピュータが発明されたとき、サイバネティックスは人間の仕事はコンピュータに取って代わられると主張された。それ以降半世紀以上経過して、こんどはAIに人間の仕事が取って代わられるとの論調がかまびすしい。その時代にさほど賃金が高い仕事とは言えない(アメリカの長距離トラックの運転手の給料は高いらしいが)運転手の仕事を代替するのにコンピュータがこれほど苦労するとは、なんとも皮肉な話ではある。

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