上出 俊作

沖縄本島在住の水中写真家。陽だまりスタジオ主宰。 「水中写真を通して人生がより豊か…

上出 俊作

沖縄本島在住の水中写真家。陽だまりスタジオ主宰。 「水中写真を通して人生がより豊かになる人が増えたらいいな」 そんな思いで、ダイビングメディアでの講演や執筆、自身の写真展等を通して、水中写真と沖縄の海の魅力を発信している。

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  • 【コラム】水中写真と構図について考える

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水中写真と構図について考える⑩ ~構図のセオリーを外すという発想~

こんにちは、上出です。 今日は構図コラムの第10回です。 ついにやって来ました、最終回。 気合入れていきましょう。ちょっとだけ。 最終回は事前の質問でもいただいていた、「構図のセオリーを外す」ということについて考えていきたいと思います。 ■「外し」を考える前にいきなりですが、血糖値に例えてみましょう。 下の値は、僕が10年くらい前に測った血糖値です。 「空腹時血糖値70、食後2時間後血糖値250」 この数字を見て、正常値だか異常値だか、わかりますか? 僕は元々糖尿病治

    • 水中写真と構図について考える⑨ ~余白の役割と活かし方~

      こんにちは、上出です。 今日は構図コラムの第9回です。 今回は、「余白を生かした構図」というテーマについて一緒に考えていきましょう。 きっとかなり深いテーマなので、丁寧に慎重に、かつできるだけシンプルに話を進めていこうと思います。 そんなことができるのかは知りませんが。笑 ■日本人と余白「芸術と余白」について語られるとき、しばしば引き合いに出されるのが「日本画」です。 日本画、あるいは日本庭園では、余白を生かして構図が設計されています。 余白もデザインの一つの要素と捉える

      • 水中写真と構図について考える⑧ ~トリミングのメリットとデメリット~

        こんにちは、上出です。 今日は構図コラムの第8回です。 「トリミングについてはどう考えれば良いか?」 というご質問をいただきましたので、今回はそれについて考えていきます。 ■何のためにトリミングするのかそもそも、なぜトリミングするのかということを考えてみましょう。 僕が思いつく理由は以下の3つです。 ①構図を整えたい ②余計なものを画面から外したい ③被写体を大きく見せたい 人によっては他にもあるかもしれませんが、まあこの3つは皆さんある程度共感してもらえるのではな

        • 水中写真と構図について考える⑦ ~周辺環境を入れるのか、入れないのか~

          こんにちは、上出です。 今日は構図コラムの第7回です。 今回は、先日いただいたこちらの質問について、一緒に考えていきましょう。 構図って芸術的な作品を撮る時と、そうでない時で変わりますよね?その辺りが知りたいかなぁ 説明不足かもしれないので…上出さんの素敵な写真に憧れるなら、構図や背景をひとつの世界として撮らなければいけないなぁと思いますし、生物の魅力を引き出すためならその子が生きている環境も見る人に伝えなくてはいけないでしょうし なんとなく思いついたまま書きましたので、乱

        水中写真と構図について考える⑩ ~構図のセオリーを外すという発想~

        • 水中写真と構図について考える⑨ ~余白の役割と活かし方~

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        • 【コラム】水中写真と構図について考える
          10本

        記事

          水中写真と構図について考える⑥ ~用途によって構図は変えるべきか~

          こんにちは、上出です。 今日は構図コラムの第6回です。 ちょうど折り返して、今日から後半戦という感じですかね。 今回は、「写真の用途によって構図は変えるべきなのか?」というテーマについて一緒に考えていきましょう。 ■どんな用途が考えられるか?まず、水中写真にはどんな用途があるのかについて考えてみましょう。 撮影した写真を最終的にどうするのかって話ですね。 時代的には、SNSにアップするというのが一番多いのかもしれません。 SNSにも色々ありますが、Instagramとf

          水中写真と構図について考える⑥ ~用途によって構図は変えるべきか~

          水中写真と構図について考える④ ~構造線の意味を知る~

          こんにちは、上出です。 今日は構図コラムの第4回ですね。 「線」について考えてみようと思うのですが、大事な話なので、2回に分けます。 今回は「構造線」について、次回は「リーディングライン」についてです。 どちらにも共通する前提事項として、以下の2点、ばっちり押さえといてください。 ①人の目は線を追う性質がある。人は線そのものにイメージを持っていて、そこから逃れられない。 ②線は必ずしも実際の線として引かれているわけではない。明暗や色のグラデーションだったり、視線だったり

          水中写真と構図について考える④ ~構造線の意味を知る~

          水中写真と構図について考える③ ~奥行きを意識する~

          こんにちは、上出です。 今日は、質問としてはいただいていませんが、関連する話題として、「奥行き」について考えてみたいと思います。 あんまり難しい話はしないので、気軽に読んでくださいな。 構図を学ぼうとすると「○○構図は○○な効果があって…」という話になりがちだよね、というのは前にも書きました。 それはそれで大事なんだけど、二次元だけの話をしても本質的じゃないよね?なんて、僕は思っているわけです。 ■なぜ一眼で水中写真を撮るのか一眼レフやミラーレス一眼に、60㎜やら100㎜

          水中写真と構図について考える③ ~奥行きを意識する~

          水中写真と構図について考える② ~パッと見た時にオッとなる構図~

          こんにちは、上出です。 第2回の今日は、事前にいただいた質問について考えていきましょう。 質問は以下の通りです↓ パッと見た時に、おっ!!ってなるというか印象的になるというか、そんな魔法の構図ありませんかね… もちろんおって感じるのは構図だけじゃなくて色とか魚の表情とか要因は他にもいろいろあるのだと思うのですが。 まず、質問の後半にもあるように、写真を見た瞬間に「オッ!」と思うのは、構図以外の要素も大きいはずです。 色々ありますが、明るさや色、生物の表情や動き、などなど

          水中写真と構図について考える② ~パッと見た時にオッとなる構図~

          水中写真と構図について考える① ~構図の優先順位~

          こんにちは、上出です。 今日からコラム「水中写真と構図について考える」シリーズをスタートします。 ※本連載は、HIDAMARI PHOTO ACADEMYのメンバーの方からいただいた質問に答える形でスタートしました。 HIDAMARI PHOTO ACADEMYとは、上出が主催するフォトセミナー・フォトツアーに参加してくださった方を招待しているfacebookグループです。 テーマ自体が広いですし、関連する話も色々していきたいので、数回に分けて(10回くらい?)お届けして

          水中写真と構図について考える① ~構図の優先順位~

          水中写真と構図について考える⑤ ~リーディングラインを引く~

          こんにちは、上出です。 今日は構図コラムの第5回です。 今回まではちょっと理論的な話になりますが、次回からはもっと実践的な話に入っていこうと思います。 それでは予告通り、今日はリーディングラインについて考えていきます。 まずは、前回共有した前提を確認しましょう。 ①人の目は線を追う性質がある。人は線そのものにイメージを持っていて、そこから逃れられない。 ②線は必ずしも実際の線として引かれているわけではない。明暗や色のグラデーションだったり、視線だったり、様々なもので

          水中写真と構図について考える⑤ ~リーディングラインを引く~