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水中写真と構図について考える④ ~構造線の意味を知る~

こんにちは、上出です。
今日は構図コラムの第4回ですね。
「線」について考えてみようと思うのですが、大事な話なので、2回に分けます。

今回は「構造線」について、次回は「リーディングライン」についてです。

どちらにも共通する前提事項として、以下の2点、ばっちり押さえといてください。

①人の目は線を追う性質がある。人は線そのものにイメージを持っていて、そこから逃れられない。
②線は必ずしも実際の線として引かれているわけではない。明暗や色のグラデーションだったり、視線だったり、様々なもので線は暗示されている。

では、構造線の話に入っていきましょう。

■構造線の種類

構造線とは、写真の「柱」となる線です。
ちなみに、絵画ではそういう概念があるそうなんですが、写真でどれだけ一般的な話なのかはわかりません。

なので、誰かに「構造線が…」と話しても伝わらないかもしれないですが、「自分しか知らない知識」だと思って優越感を感じてください。
まあ、それは半分冗談として。

構造線には3種類あります。

縦の線
横の線
斜めの線

写真を見ながら、それぞれの線にどういうイメージを与える効果があるのか考えていきましょう。


■縦の線

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上の写真がわかりやすいですかね。
誰がどう見ても、縦に1本の線を想像できます。

縦の線は、「立っている」あるいは「シャンとした」イメージを与えます。
下のヒレナガネジリンボウの写真も縦の線と言っていいかもしれません。

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縦構図か横構図かということに縛られる話ではないのですが、実際には縦構図の方が、縦の線が構造線になっていることが圧倒的に多いように感じます。
縦長の被写体は縦構図の方が収まりがいいので、当たり前と言えば当たり前なのでしょうが。

縦の線の写真を探したのですが、実際にはあまり見つかりませんでした。

■横の線

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ちょっとわかりにくいかもしれませんが、上の写真を見てください。
ウミタケハゼの乗っている下はある程度ピントが合っていて、背景は完全にボケていて、その境界が横の線になっていますよね。
これは、横の線が構造線になっていると言えます。

横の線は、「穏やか」「休止した」「安定した」印象を与えます。

下の写真も水面が横の構造線になっていますね。

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今書いていて気づいたんですが、以前から、フィッシュアイレンズよりも超広角レンズで撮った方が静かな印象になる気がしていました。
それはきっと、横の線がそもそもそういうイメージを持っていたんですね。
フィッシュアイだと、水面も丸っこくなってしまうので、横の構造線としては弱かったんだと思います。

■斜めの線

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上の写真を見てください。
左下から右上へ斜線が引かれていますね。

下の写真も同じ要領で見てみましょう。
右下から左上への斜線を想像できると思います。

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僕のインスタかブログかを見てもらえばわかるのですが、僕の写真は、画面の中に斜めの線を入れたものがかなり多いです。
(今作例を選ぼうとしていて、こんなに斜線ばっかりなのかと驚きました。)

斜線を見ると、人は「起き上がろうとしている」あるいは「倒れようとしている」という印象を受けます。
そのため、斜めの構造線が引かれていると「動き」や「躍動感」を感じるようです。
斜線というのは、次の動きを予感させてくれるんですね。

僕は基本的に水中で生き物を撮影しているので、静止画の中で動きを表現したくて、斜めの構造線を積極的に使っていたのかもしれません。

斜めの構造線がはっきり引いてあるわけではないけど、下の写真のようにさりげなく視線で引いたりすることも多いです。
これは、見ようによっては、横の構造線が引いてあるととらえることもできるのかもしれないですが。

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■まとめ

今回は、「線そももの」にある一定のイメージを与える効果があるという話をしてきました。

実際には、パッと見て構造線がわからない写真もありますし、色んな線が組み合わせってる写真もあります。
なので、そこまでこだわらなくてもいいのかもしれませんが、そういう要素があるという事は知っていた方が良さそうです。

この辺の話を知っていた方が「対角線構図は動きを演出しやすい」なんて話も理解しやすいはずです。

次回は「リーディングライン」について考えていきましょう。
ではまたー!

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