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古里に力与える戦いを 雄勝町出身 藤井選手 五輪バレー日本代表入り

 東京五輪のバレーボール男子日本代表メンバーが24日までに発表され、石巻市雄勝町出身の藤井直伸選手(29)も内定した。東日本大震災後、競技を辞めることも考えたという藤井選手の心を支えたのは、古里の家族や住民たち。「後押しがあったからこそ日の丸を背負って戦える。少しでも力を与えられるプレーをしたい」と意気込んでいる。

 藤井選手は大須中学校(現・雄勝中)出身で、当時はクラブ活動がバレーボール部しかなく、ここで基礎を学び、力を付けた。その後は強豪の古川工業高に進学。順天堂大学を経て、平成26年に実業団の東レアローズ=静岡県三島市=に入った。

 ポジションは司令塔のセッターで、多彩なトスワークと安定したサーブレシーブが持ち味。29年に全日本メンバーに招集され、30年のアジア選手権ではベストセッター賞に輝くなど日本代表に欠かせない存在だ。

石巻市出身五輪男子バレーボール日本代表 藤井さん(提供:日本バレーボール協会)のコピー

藤井選手(提供・日本バレーボール協会)

 地元を離れ、競技に打ち込んでいた大学1年時に震災が発生。古里の雄勝町は壊滅的な被害を受け、実家も流された。幸い家族は無事だったが、両親は仮設住宅住まいを余儀なくされた。窮状を目の当たりにした藤井選手は、一度はバレーの道を諦めかけたが、その両親に背中を押されたことで競技を継続できたという。

 念願だった五輪出場の切符を手にした藤井選手は「支えてくれた家族や関係者の皆さんには感謝してもしきれない。地元の皆さんも帰省するたびにたくさん声をかけ、温かく迎えてくれる。今度は自分が少しでも力を与えられるよう胸を張って、全力で戦いたい」と決意を示した。

 石巻市の齋藤正美市長も代表内定を祝福。「五輪開幕まで1カ月。世界が注目する夢の舞台でベストを尽くしてほしい」と談話を出した。市では藤井選手を応援する懸垂幕を近日中に市役所に掲示する考え。【山口紘史】


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