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あきれたとうサン完結へ 漫画家木崎さん「新聞掲載に価値」

 石巻日日新聞など地方紙に四コマ漫画を掲載している漫画家の木崎ゆきおさん(木崎征夫、79)=神奈川県横須賀市=が、今月末でペンを置く。体調不良が理由。本紙では昭和56年6月1日から「あきれたとうサン」を連載し、熟練の筆致でとうサンやその家族、職場の仲間をユニークに描き続けてきた。

本紙連載40年11カ月

木崎さんの妻、芙子さん(71)の話では20代半ばごろから四コマ漫画を描き続けた。誰に従事したわけでもなく、全て独学。家族愛や職場環境、時には風刺に至るまで社会を読み解きながら、その時代に合った漫画を生み出してきた。

 代表作「あきれたとうサン」以外にも「ゴキゲンさん」「ハナマル君」「サッパリ君」など大人の男性キャラクターを軸に展開する作品を描き、ペンネームも複数持ちながら地方紙に掲載し続けた。

昭和56年6月1日の第1作は自己紹介も兼ねていた

 これまでも単行本出版や週刊誌への掲載も依頼されたが、全てお断り。芙子さんは「夫は『新聞に載せることに価値がある』と、ほんとに新聞一筋でここまで歩んできた」と話す。最近は体調がおもわしくなく、今月末でペンを置くことを決めた。

 ピークでは約40作品も描き、隣り合う地方紙が互いに木崎さんの漫画を使っているということもしばしば。仕事と趣味が同じで「四コマ漫画を描き続けること」。掲載紙が自宅に届くのが毎日の楽しみであり、わくわくしながら紙面を開く木崎さんの姿を、芙子さんは毎日隣で見てきた。

平成23年3月11日の作品。新聞発行直後の震災であり、ほとんどの読者が目にすることがなかった

 本紙では昭和56年6月から連載。当時、木崎さんは「親子の断絶や家庭不和、職場では上役と部下同僚との不調和など、今やとうサンの悩みは山積み。そんなしがらみの中で時には喜び、またあるときは悲しみつつ、一家を支えている現代日本のとうさんを、この漫画を通して、もう一度考え直してみたい」と言葉を寄せた。

平成24年1月4日の作品は珍しい九コマ漫画となった

 その後、休むことなく作品を寄せ、本紙は地域の話題のほか、時に凄惨な事件などが載る社会面に掲載。四コマ漫画は読者の喜怒哀楽を和ませる大きな役割を担ってきた。東日本大震災後、本紙は4月18日から掲載を再開したが、木崎さんは「原稿料はいらない」と状況が落ち着くまでの約7カ月間、無償で作品を届けてくれた。

 本紙での連載は今月で40年11カ月。芙子さんは「夫は一人で頑張ってきた。私も夫の才能には驚かされてばかり。新聞を読んでクスッと笑ったり、なるほどと思ったりする読者を思い浮かべながら描き続けたと思う。本当にお疲れさま。そして読者の皆様ありがとうございました」と話していた。【外処健一】

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 本紙での「あきれたとうサン」は30日まで掲載し、5月からは新連載の作品となります。




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