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「誰かヘルプしてくれない?」  石巻・鹿又小学校 算数で解けた喜び共有

 石巻地方の小中学校で情報通信技術(ICT)を使った授業、学校運営が進められている。石巻市立鹿又小学校(浦山正幸校長・児童308人)は児童同士が教え合い、学び合う授業を展開。学力調査で全国平均を上回る成果も出している。本年度から河南東中学校でも同じ形式で授業が行われており、2校はもとより河南地区8小中学校全体で学力向上へ連携を強めている。(2回続き)

学力調査で全国平均上回る

 鹿又小は前年度より教師主導の授業を見直した。特に算数はその日に扱う単元の説明を前半で済ませ、後半は児童が問題を自由に解く時間に充てる。その結果は標準学力調査に顕著に表れ、令和4年12月に実施した標準学力調査の算数の成績が全国平均を上回った。

 浦山校長は「教師が魔法のように完ぺきな授業をすれば児童の習熟度が上がるわけではない。授業内でなるべく多くの問題を解き、『解けた』という喜びを友人と分かち合ってほしい」と話す。

自席を離れて自由に学び合う児童たち

 先日の授業で6年生は分数のかけ算を学んでいた。前半で整数と分数や帯分数と真分数のかけ算を習い、後半は教科書、ドリル、タブレットドリルの順で問題をひたすら解いて知識を定着させた。おのおののタブレット端末には答えが配信され、答え合わせもそれぞれ行う。1人または2人、グループで解く自由な時間でにぎやかな雰囲気で進んでいた。

 それぞれの進度は黒板に貼り付ける氏名の書かれたマグネットで把握する。これで誰がどこまで解けているのか教師にも学級全体にも一目瞭然。授業のコンセプトは
①全員でゴール
②誰一人見捨てない
③素直に聞く
④教えることは学び
―の4つとしている。

 教科書の問題を解き終えることが全体の「ゴール」。うまく解けない児童は、おのずと「誰かヘルプしてくれない?」と助けを求め、どこからともなく聞こえる「いいよ」の声とともに、席を立ってクラスメイトが解き方を教えに来ていた。

 教師は児童の様子を見て回るが、学びの主体はあくまで子どもたち。過度な教え込みは避け、子どもたちが自ら考えて答えにたどり着けるよう意識的に軽い助言に終始した。浦山校長は「人に助けを求めることを小学生のうちから習慣付けてくれたら。算数の習熟に加え、社会に出たときに必要となるスキルの素地も授業内で身に付けてほしい」と語った。

 1組の熊谷絵空さんは「算数は苦手。でも学び合いは好き。苦手な算数もみんなで一緒に解けると楽しい時間になる」と笑顔を見せていた。

 鹿又小の卒業生のほとんどが進学する河南東中学校も本年度から数学をはじめ、国語や英語でも同様の形式で授業を行う。2校のみならず、河南地区全体で学び合う授業が推進されている。【泉野帆薫】

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