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「政治参加」②課題 若者の声聞き、話す場少なく

 近年の石巻市長選や市議選は、65―69歳の投票率が最も高く、下の年齢層にいくほど低い傾向がある。20―24歳は4人に1人しか投票しておらず若い世代の選挙離れが目立つ。市選管はこの状況に目をつぶってきたわけではなく、平成29、30年度は地元の石巻専修大学の学生に呼び掛け、投票率向上の座談会を行ったことがある。

 座談会が始まったのは、初の18歳選挙権となった参院選の1年後。自薦、他薦の学生6人が大学の一室に集まり、全6回開催した。同世代の投票率の低さには「地域とのつながりが薄いことで政治への関心が低い」「多くの若者は投票したところで何も変わらないと思っている」との考察が聞かれた。

 若者に響く選挙啓発や投票しやすい環境の議論を重ね、30年10月には市選管に最終報告。選管による大学での出前講座、投票したことをアピールしてもらうシールの配布が提言された。住民票を移していない学生が多かったが、途中の回で出た大学での期日前投票所は29年の衆院選、県知事選から設置され、今に至る。

 座談会は最終報告後、学生の主体的な選挙啓発活動へ移行。だが後継者が育たず、コロナ禍もあって継続できなくなっていった。

 「誘っても乗ってくれる人はほとんどいなかった」と振り返るのは、当時のメンバーだった佐藤香伽さん(25)。卒業後、仙台市内で働いている。何をするのにも金がかかり、情報も選択肢も多い時代・社会にあって学生は授業、サークル、アルバイトと忙しい。「自分の興味の追求やかけがえない時間を過ごすのでいっぱいな時に、あえて選挙啓発活動をする差し迫った理由が学生になかったのだと思う」と話す。

 ただ、座談会に参加して分かったこともあった。活動が報道されたことで、未熟な意見であっても誰かに影響しうるのを実感。「自分が社会の一員であることの自覚につながった」という。

 さらには「世間でいうように、学生は政治や選挙について何も考えていないわけではない」と佐藤さん。「そういう話をする機会がないか、自分の意見はたいしたことないと思い込んでいるだけ」と察する。その上で「学生に政治や選挙の意識がない、と言っている人たちが、それを聞いていなかっただけなのでは」と指摘。だからこそ、若い世代がざっくばらんに話し合う座談会のような場や、政治家が耳を傾けてくれたりする機会を望んだ。【熊谷利勝】






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