買い物支援に自律自走ロボ トヨタ自動車東日本 女川駅前で体験会 地域課題解決の糸口探る
AI(人工知能)など最新技術を生かしたロボットの活用は、さまざまな地域課題の解決に期待が寄せられている。特に人口減少が顕著な地方で、その存在感は増している。トヨタ自動車東日本=大衡村=は、人や障害物を避けながら自動で荷物を運ぶ「自律走行ロボット」の体験会を女川駅前商業エリアで実施。町民に有用性を感じてもらいながら、さらなる改良に向けて意見集約した。
体験会で使われたのは、同社が昨夏から開発を進めている自律走行ロボット「cocomo(ココモ)」と「ES24」の2台。いずれも全長90センチ、高さ70センチで、両方に荷物を乗せるスペースがあり、指定場所への配達や高齢者の買い物支援などを想定。労働力不足の解消にもつながるとしている。
箱型のココモは、機械本体にGPSアンテナを搭載。センサーが衛星と基地局の情報から位置を測定し、人や障害物を避けながら目的地に向かう。箱の中に買い物袋や飲料、食べ物を入れて配膳することができ、6月21日に行われた体験会では50メートルほど離れた場所にコーヒーを届ける演習が披露された。
一方、ES24は、事前に顔認証した人の後ろを付いていく追従走行型。買い物かごを置くスペースがある。商店街の関係者らが体験し、背後を付いてくるロボットのかごに2リットルのペットボトルを入れたり、モニターで動きを確認したりと有用性を確かめた。
町観光協会職員の阿部こころさん(24)は「自分の後ろを付いてきてくれるのが不思議な感覚で、愛らしかった。導入されれば高齢者の方の買い物や、荷物の多い観光客の皆さんの利便性向上につながると思う」と話した。
須田善明町長は「都市部より、人口減少が進む女川のような地域の方がこうした技術は今後必要になるし、近い将来、実用化されるだろう」と期待した。
トヨタ自動車東日本の林田愼太郎領域長は「有用性を感じてもらいながら『こんな課題に生かせるのでは』などの意見やアイデアをもらいたい。地域や住民の困りごと、ニーズに合わせた形でこの技術が使われることを望む。それに向けて今後も改善を重ねたい」と語っていた。
ロボット開発は、将来的な人口減少に伴う、地域の働き手の不足などを見据え、同社が実用化に向けて取り組んでいる事業。東日本大震災に伴い高台に集団移転した町民のよりよい移動手段を模索する女川町が、体験のフィールドを提供するなど協力している。今回使用された2台は両方とも、現時点で実用化のめどは立っていない。【山口紘史】
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