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204室の宿泊施設完成 女川町の5社連携で新事業 滞在観光でにぎわい創出へ

 女川町の中心地に新たな宿泊施設「Swimmy Inn Onagawa(スイミー・イン・女川)」が完成し、22日に落成式が開かれた。町内水産会社やスーパーマーケットなど5社で作る事業協同組合が町有地を借りて整備。部屋数は204室と町内宿泊施設では最大規模で観光滞在やスポーツ合宿、工事関係者の長期滞在など幅広い用途に対応し、町のにぎわい創出と経済循環に貢献していく。観光客の宿泊は黄金週間明けから可能になる見通し。

テープカットで落成を祝った

 施設は黄金地区の国道398号沿い(おんまえや向かい)で、町有地の1万2千平方メートルに建設。フロントや食堂、大浴場、客室を構える本館(延床面積約1230平方メートル)と宿泊棟4棟(各約850平方メートル)からなり、シングル、ダブル、ツインのほか、家族向けに2段ベッドのある部屋も整備。駐車は最大190台。スタッフは約30人で半数は町内、それ以外は石巻市などから雇った。食堂では海の幸など地場産品を使った朝・夕食メニューを提供する。

 事業は、(株)渡邊商店、(株)岡清、(有)マルキチ阿部商店、(株)石森商店、(株)御前屋の町内5社によるSwimmy Onagawa事業協同組合(渡邊俊季理事長)が展開。主力魚種のサンマの不漁やコロナ禍の経済低迷を受け、本業以外にも収益の柱を構えようと連携した。

 組合によると、町内宿泊床総数は東日本大震災前の3分の1ほどに減少しており、この解消に寄与するとともに、観光振興と来訪者の地域循環、経済効果にも貢献していく。施設建設には国の事業再構築補助金とグループ補助金も充てた。

 式には関係者約70人が出席し、テープカットで完成を祝った。渡邊理事長は「コロナ禍や原油高、戦禍による資材、物価高騰など多くの苦難があったが、ここまでこぎ着けた。町や観光協会、商工会、工事関係者など多くの支えと理解に感謝。この恩に報いるため頑張りたい」と話し、須田善明町長も「女川に多くの人が来てくれることが一番の価値。皆で協力してにぎわい創造につなげよう」と祝辞を述べた。

食堂に絵本作家の壁画

 食堂では町出身の絵本作家・神田瑞季さん(27)が描いた壁画もお目見え。神田さんが町内で壁画を描くのは12年前にがれき処理場の壁に描いて以来。作品は緑々とした木々が美しく、爽やかさが感じられるものになっている。

食堂内に美しい壁画を描いた神田さん

 神田さんは「発災直後は町が灰色一色の世界だったので当時はカラフルを意識した。だが復興が進み、まちに彩りが戻ったので、今回はあえてグリーンを主に、元気で明るい絵を意識した」と話していた。

 宿泊予約と問合せは同施設(0225-90-9822)。【山口紘史】





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