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JAいしのまき 飼料用トウモロコシ初収穫 輸入高騰で国産に期待

 飼料用で需要があるトウモロコシの収穫作業が21日、石巻市桃生町内で行われた。2つの農業法人が5月に栽培を開始し、石巻市では初の試み。飼料用トウモロコシは大部分が輸入だが、国際情勢の変化で価格は上昇しており、国内生産の自給肥料として注目され始めている。JAいしのまきでは、大豆や小麦などの転作作物の一つとして活用を期待しており、管内での生産拡大を目指している。

 トウモロコシは大部分が米国の輸入に依存しており、農林水産省によると、飼料全体の自給率は平成29年度で約26%。農水省は、令和7年度までに自給率を40%まで引き上げることを目標としており、全国各地で飼料用トウモロコシの栽培が広がりを見せている。

大型農業機械が次々とトウモロコシを刈り取った

 JAいしのまき管内では、すでに東松島市の㈲アグリードなるせが、転作水田で飼料用トウモロコシの試験栽培を行い、収益性などを調べている。石巻市では、桃生町の(株)入沢ファームと(有)サンダーファーム牛田が約2.2ヘクタールで5月に試験栽培を開始。この日、初めての収穫を迎えた。

 このうちサンダーファームは、海外製の大型農業機械を使って、高さ約3メートルにまで育ったトウモロコシを刈り取った。収穫までにかかる時間と燃料費などを計測し、収益性を調べていく。

 飼料用トウモロコシは、大豆など他の転作作物より買取単価は安いが、ほとんど育成に手間がかからない利点がある。コメの需要低下で政府の生産調整は年を追うごとに拡大しており、農家にとってトウモロコシは転作用として一つの選択肢になっているという。

 西條静悦社長は「飼料用トウモロコシは未知の世界であり、期待と不安が半々の状態。これからまとまった量が収穫できるようになれば、収益になる可能性もある」と期待を込めていた。

 JAいしのまき営農部桃生営農センターの鈴木啓悦センター長代理も「生産調整が続く中で、麦や大豆だけではない新しい可能性を見出すための試み。大豆、麦の農業機械がそのまま転用できるなどの利点もある」と今後の生産拡大を見据えていた。【渡邊裕紀】





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