すっきり食味「瑞穂の夢」 石巻産米・新品種登録 蛇田の太田さんが開発
石巻市で栽培されるコメに今年から新品種の「瑞穂の夢」が登録された。昭和30年代に県内米の主力品種だったササシグレを親に持つ。開発したのは石巻市蛇田の農業、太田俊治さん(65)。「瑞穂の夢」はすっきりした食味で、従来の品種にアレルギーを持つ人やすし店などから人気があり、JAいしのまきが主催した産直市(6日開催)でも注目を集めた。
旧品種から可能性見出す
太田さんは代々農業を続けてきた家系の16代目。ササニシキ、ひとめぼれと地域の主力品種の切り替えにもいち早く反応し、コメを知り尽くす熟練者だ。
平成10年ごろ旧品種のササシグレに興味を持って試験栽培したところ、香りと食味の良さに驚いたという。その頃は全国的にコシヒカリを主とするモチモチした食感が主流の時代であり、太田さんはもち米系にアレルギーを持つ人たちがいることも知った。
ササシグレを引き継いだ瑞穂の夢。太田さんは「広く発信していきたい」と可能性を探る
その対策で、うるち米系で北海道産の「ゆきひかり」という品種もあったが、食味が芳しくないため、太田さんはアレルギーを持つ人たちに同系統のササシグレを紹介。「おいしく食べられる」と喜ばれたという。
旧品種の持つ可能性に魅力を感じた太田さんは、ササシグレの二世代前となる「亀の尾」の栽培にも着手。現代農法では育てるのが難しい品種だが、無肥料栽培を取り入れ、大自然の豊かさを最大限に活用する農法を実践してきた。
新品種の「瑞穂の夢」は、ササシグレとすし米として関西圏で評価の高い品種の「ハツシモ」を掛け合わせて誕生。ササシグレよりも粒が大きく、食味や香りも良いという。太田さんは「ササシグレは後継にササニシキをもつ優秀な品種。瑞穂の夢もすし店や料亭から高い評価を受けている」と話す。
今年は瑞穂の夢を約300キロ収穫し、JAいしのまきの産直市でも数量限定で販売。試食もあり、来場者の反応に十分な手ごたえを感じた。太田さんは「すし用や酒米など活用方法を探りながら、多くの人に知ってもらうことも重要。付加価値のあるコメとして発信していきたい」と語っていた。
【渡邊裕紀】
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