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絵本で描く親友の震災体験 友情の証を製本化 語り部グループ・高橋さんと武山さん

 「震災を知らない子どもたちに、見てもらえたら」。東日本大震災で両親と祖父を亡くし、自宅があった東松島市で語り部活動を行うアルバイト高橋さつきさん(20)の体験を、親友の大学生武山ひかるさん(20)が描いた絵本「ひとりじゃない」が完成間近だ。インターネット上で資金を募るクラウドファンディングで製作費を捻出し、3月上旬の完成後、東松島市の学校や図書館などに寄贈する予定だ。【本庄雅之】

 絵本は高橋さんとともに大曲地区で被災し、ずっと寄り添ってきた武山さんが、得意の絵で表現した同級生の体験記。原本となった、たった一冊の手書きの絵本「ふたつの生きる」は、平成30年、2人が高校3年の時に完成。より多くの人に見てもらおうと、今回、製本化に取組んだ。

ひとりじゃない final_ページ_01

武山さんが手掛けた絵本の表紙

 「あの時、どうだった」「どういう気持ちだった」。あらためて聞かれたストレートな質問にも、親友だからこそ打ち明けられた高橋さん。逆に「必ず入れてほしい」と注文したこともあった。

 主人公の女の子のお父さんが夢の中に現れ、「お母さんは」と聞くと、「ごめんね、お母さんは亡くなっちゃった」と言われて目を覚ます場面。同じ内容の夢を見た日に、遺体安置所でお母さんが見つかった。「ずっと覚えていることなので、描いてほしいな」と思った。

絵本さつき (3)

かつて自宅があった大曲浜で体験を語る高橋さつきさん

 震災後に地元で語り部活動し、市無形民俗文化財の大曲浜獅子舞に参加するなど懸命に生きてきた高橋さんにとって、武山さんは「お姉ちゃんだったり、妹だったり、家族ですね」。今、一緒に暮らす祖母も「もう一人の孫のよう」という。

 震災から10年は「あまり気にしたことがない」と話す。「いろんな人に支えてもらったからこそ、こうやって生きていけるのかな」と言い、「どこかしらモヤモヤした部分もあるのですが、私なりに(亡くなった)親のことを受け入れていくことはできるようになったのかな」とも明かした。

note用絵本さつき (2)

 友情の証は、2人の手から、より多くの人の目に触れることになる。「絵本だとどの年代の人が読んでも分かってもらえる。震災を知らない子どもたち、同世代やこれから生まれてくる子どもたち、震災を体験したことのない人たちにも見てほしい。伝えるっていうことが一番いいことだと思う」としっかり前を見据えた。

 クラウドファンディングでは目標額の50万円を達成したが、期限の来月12日まで寄付を募り、印刷部数を増やしたいという。購入希望者には、税別1200円(送料別)で販売する。申し込みは、語り部グループ「TTT」のフェイスブックから。


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