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フルーツ感覚〝まきいしトマト〟 石巻初のアイメック農法 新しい技術の水耕栽培

 石巻市で初めてとなる害虫や病原菌を通さず、水と養分だけで栽培できる特殊フィルムを用いたトマト栽培が注目を集めている。「アイメック農法」と言われ、生産しているのは同市蛇田のエヌファームで、糖度の高いフルーツトマト「まきいしトマト」を年間約10トン生産。インターネット販売などで関東圏から引き合いがあり、果肉100%のジュースはとても濃厚と飲食店から高い評価を受けている。特殊フィルムを使った栽培は環境負荷も小さい。

 エヌファームは、建築資材を扱うニイヌマ(株)(新沼利英社長)=同市門脇=が運営。同社ではLED照明や太陽光発電など、環境に配慮した事業にも取り組んでおり、東日本大震災後にアイメック農法の存在を知り、高齢で引退した農業者からハウスを譲り受けて農業に参入した。

ハウス内で育つ「まきいしトマト」。果実のような甘さが特長

 この農法で使われている「アイメックフィルム」は、元々医療用であり、神奈川県の企業が開発した。フィルムには10億分の1メートルという微小な穴が空いており、害虫や病原菌を通さず、水と養分だけを作物に供給できるのが特長。農薬散布量も極めて少なく、廃液も出ないことから環境への負荷も小さいという。

 エヌファームでは4年前からアイメック農法を取り入れ、ノウハウを蓄積してきた。現在の収量は約10トンだが、さらに技術を高めて16トンの生産量を目標に置く。同様の農法を導入する農業者は全国で100軒近くあり、情報交換も盛ん。糖度が8以上となる「まきいしトマト」は、市のふるさと納税返礼品にも選ばれ、品質は折り紙付きだ。

付加価値のあるトマトとして、関東圏で人気が高い

 ハウス責任者の村上幸男さん(57)は「今はまだ技術やノウハウを吸収している段階で、これからが本番。LEDを使った栽培や無農薬への挑戦など、まだまだ可能性はある」と話す。その上で「石巻産であることをアピールし、地元の農業が盛り上がってくれればなにより」と郷土愛をにじませた。

 この「まきいしトマト」は石巻市役所1階の観光案内所で販売されているほか、インターネットでも購入できる。問合せは同ファーム(070-1266-9047)。【渡邊裕紀】


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