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年に1度の至極に妥協なし 石巻市飯野・いなかっぺきのこ 「吉野まいたけ」出荷

 石巻市飯野の「いなかっぺきのこ」(赤間俊文代表)が生産する高品質のマイタケ「吉野まいたけ」の出荷が始まった。一切の妥協を許さず、1年かけて露地栽培で育てたマイタケが1株ずつ丁寧に梱包されている。

 吉野まいたけは短期間で生産する施設栽培とは異なり、食感と香り、肉厚感で一線を画すなど国産原料と栽培技術にこだわったキノコ。1年を通じて今だけの収穫であり、生産量は約5千株。ほとんどは東京・豊洲市場に出荷されている。

吉野マイタケ出荷 (1)

赤間さんの手で1株ずつ箱詰めされるマイタケ(9月16日)

 「やるからには品質日本一になりたい」。長く営業畑を歩んできた赤間さん(46)が心機一転し、農業を志したのは12年前。究極のマイタケ作りに向け、品質改良を重ねた。「技術に終わりはなく、今も改良し続けている」と探求心は尽きない。

 「究極とは何か」。その答えを導くため、定説とされていた栽培方法を一から見直し、常識を覆して違う視点から向き合った。「これはいける」。苦節の末、満足のいく栽培にたどり着いた。

note用吉野マイタケ出荷 (20)

 世界最大級の公設市場で、高級青果物などが全国から集まる築地市場(当時)に取り付く島もなく直接電話をし、粘り続けて何とかサンプルを送ることができた。その後、1本の電話が入り、市場の対応が一変。競りで扱うマイタケの中で一番の高値を付けていた。

吉野マイタケ出荷 (5)

 今や仲買人を介して都内のホテル、料亭など一流と呼ばれるところに卸される。市場への出荷作業は10月半ばぐらいまでと極めて短い。赤間さんは1箱に1株ずつ入れ、配送中の荷崩れを防ぐ緩衝材を敷き詰め、丁寧に梱包する。「旬の時期に本当においしいものを食べてほしい。それだけです」。志は農業を始めた当初からぶれることはない。

原木シイタケ

ぐんぐん成長する原木シイタケ

 マイタケの露地栽培施設から少し離れたところに原木シイタケの栽培施設がある。台風14号の影響で湿度が高まり、シイタケも急速に成長。赤間さんは当初の時期を前倒しして18日から収穫を開始しており、来年6月まで続く。

 原木は約2万本をそろえ、収量は20トンを見込んでいる。「マイタケの次はシイタケ。この2つに全力を注ぐのが私の仕事」。食した人の笑顔を思い浮かべ、生育を見守る。【外処健一】

▽いなかっぺきのこ=石巻市飯野字大吉野入=(0225-25-7574)。
今シーズンの「吉野まいたけ」は全て予約完売している。


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