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趣向凝らした古里賛歌 「カンタータ大いなる故郷石巻」 10年に1度の上演

 昭和48年の石巻市市制施行40周年を記念し、10年に1度上演されている市民参加型舞台公演カンタータ「大いなる故郷石巻」が28日、マルホンまきあーとテラスで開催された。女優の三國裕子さん(72)の総合演出によるソプラノとバリトン、大合唱、管弦楽、踊りを融合した新たな古里賛歌を披露。1千人を超す超満員の観客が惜しみない拍手と歓声を送り、石巻の魅力を再確認した。

 10年ごとに上演されているカンタータだが、震災後の新たな芸術文化の拠点として複合文化施設が開館したことを記念し、令和3年の公演を計画していた。コロナ禍で2年連続の延期となり、作品の誕生から50周年と重なる令和5年の開催に。このため、震災復興祈念のほか、同施設の開館記念事業を銘打って上演された。

 公演は2部構成では、1部では地元の伝統芸能である「伊達の黒船太鼓保存会」「寺崎はねこ踊り保存会」「北上町女川法印神楽保存会」の3団体がステージで演奏や演舞を披露した。

 2部のカンタータは、全4楽章で構成。第一楽章「日高見」では、三國さんの朗読からバリトンの千葉昌哉さんによる力強い独唱と男声合唱が展開されると、第二―三楽章「たたら火」「雄図」では、石巻鋳銭場の成り立ちや、伊達政宗の命を受けてサン・ファン・バウティスタ号で海に出た支倉常長の記録を、ソプラノや管弦楽、大合唱に合わせ、演劇や舞踊、ダンスなどで表現。係留されていた復元船の懐かしい映像もスクリーンに映し出した。

新たな演出を加えたカンタータは大盛況で幕を閉じた

 第四楽章「祝祭」のフィナーレでは、100人を超す出演者が古里賛歌を響かせた。観客から惜しみない拍手と歓声が贈られ、再び幕が上がると、一層の拍手と声援で労い、花束などが贈られた。石巻市美園から訪れた鈴木和子さん(69)は「友人の出演をきっかけに初めて見た。とても壮大で感動し、これだけのものをなぜ今まで気付かなかったのかと後悔している。次の開催を見られるよう体調にはとにかく気を付けたい」と熱弁を振るっていた。

 実行委委員長の足立岳志会長(62)は「本来は施設の開館記念行事として準備してきたが、コロナ禍で延期が続き、作品誕生50周年の年にようやく実現に至りほっとした。三國さんの演出で新しいカンタータが吹き込まれ、子どもたちの未来をつなげ、将来を考えるものになった」と話していた。【横井康彦】





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